第6話 高校生活始まる

今日は入学式の日だ。


「なんか行くの嫌なんだよなぁ」


俺は朝食を食べながら愚痴を漏らす。


「そんなこと言ってないで、さっさと行ってきなさい!」


愚痴が母さんの耳に入ったらしく、怒られてしまった。

さっさと食べてしまおう。

俺は素早く朝食を口に運び、お茶で一気に流し込んだ。


「じゃあ、行ってくる」

「はい、いってらっしゃい」


靴を履いていると、ウサギのもちが近寄ってきた。

膝の上に乗ってきて、そのまま止まる。


「こらこら、可愛いけど学校行かなくちゃいけないからちょっとどいて。ああ、母さ~ん」

どかしてもどかしても、すぐに膝の上に乗ってくるので、母さんに助けを求めた。


「よっこいしょ。今のうちに行きなさい」

「ありがとう」


俺はできるだけもちを見ないように様にして出ていった。

なんでかって?見たら撫でたくなるからさ!!!


「もう少しだな……」

スマホで道を確認しながら、登校している。


「「痛い!」」

誰かとぶつかった。


「ごめんなさい」

「いえいえ、こちらこそ」


女の子だった。

制服が一緒だったので、一緒の高校だと思う。

すると、女の子から話しかけてきた。


「ねえ、私の名前は不治茜っていうんだけど、君の名前は?」

「俺は北上修也です」


うーん、美成としか同世代の女の子と話したことないから、緊張するな。


「一緒に登校しよ?ね?」

「いいけど……」

「じゃあ決まり」


結構グイグイくる子だなあ。

俺はそのまま学校まで一緒に登校した。


「不治さんって部活とか入るの?」

無言だとなんだか居心地が悪いから、いくつか質問してみることにした。


「まだ決まってないよ。けど、運動系の部活には入らないかな?あ、それと、不治さんって呼び方はしないで!茜って呼んでね」

「あ、ああ。わかった」


まだまだ質問する。

「趣味とかは?」

「ん~~、歌うことかな。てか、修也くん自分のことなんにも話していないじゃん。今度は私から質問するね」


え?今なんて言った?

修也くん?

東京の人ってそんなに距離感近いの?


「修也くんは何部に入るの?」

「俺は、バスケ部?」

「何で疑問系なの~?」


軽く笑われた。

笑っている顔がすごく可愛い。

目を逸らしながら答えた。


「それは、入ろうかなって思っているだけだから」

「ふーん。じゃあ、趣味は?」


趣味か、田舎で暮らしていたから特に何もないな。


「何もない」

「ほんとに何もないの?」


顔を覗き込んでくる。

てか、胸元見えそうだって……肌色見えちゃってるよ?


「今胸見てなかった?そんなに大きくないけどね」

「見てない!」


はっきりと否定しないと。

見たとか言ったら学校生活が終わってしまう。

お?校門が見えてきたぞ。


「そうだ!」

何やら茜は鞄の中をガサゴソとしだした。

「MINE交換しよ?」

可愛い子に言われると否定できない。というか否定する理由が全く無い。

「ああ、いいよ」


ーーー


そんなこんなで、入学式も無事に終わった。

茜とは連絡先交換したあと、座席が違っていたので離ればなれになってしまった。


ピロンッ

お?茜から連絡がきた。


私たちおんなじクラスだって!


おお、何て偶然。

俺は返事を返して家に帰った。


ーーー


「もち~ただいま」

帰ると必ずもちが迎えに来てくれる。

「もちは天才か?」

俺はもちを撫でながら言った。


「おかえり、修也。入学式どうだった?」

「うん、早速友達ができたよ」

「そう、よかったわね!」


母さんも喜んでくれている。

玄関を見ると父さんの靴があった。


「父さんも帰ってるの?」

「ええ、今トイレなんじゃない?」


まあ、父さんにも友達できたって話すとするか。

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俺に女の子がよってくる~ウサギを拾ったらこのありさま~ こんぶおにぎり @KombuOnigiri

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