第5話 東京へ行く準備

春休みの途中、東京へ行く準備を始めた。


「修也、早く荷物をまとめなさい。ほら早く!」


母さんはとても急かしてくる。


「わかってるよ」

「も~、元気だしなさいよ。美成ちゃんに会えなくなったからってね?」


はあ、そうなのかなあ。

自分でははっきりとわかっていない。


「また会いに来ればいいじゃないか。なあ、修也」


父さんは俺の肩を叩きながらそう言ってくれたけど・・・会いに行けるのか?

嫌われたのか?原因もよく分からないが。

とりあえず準備を終わらせよう。


ーーー


「準備できた」

俺は準備を済ませたことを両親に言い、美成に会いに行くことにした。


美成の家についた。

ずいぶんと懐かしい家だ。

小学生の低学年頃はよく遊びにいったなあ。

そんなことを考えながらインターホンを押す。


出てきたのは美成ママだ。

「あら~、いらっしゃい。今日はどうしたのって・・・心配できてくれたのよね。」

「そうなんです。美成はどうしてますか?元気ですか?」

「そうね、あんまり元気はないようだけれど、病気とかじゃないからね。それと、修也くんには会わないと思うわ」


優しく微笑んで返事をくれた。

俺に非はないってことを伝えたいのだろうか。


「そうですか。では、東京行ってくるって。また会おうって言っておいてください」

「わかったわ」


ーーー


そのまま家に帰ると、既に荷物を引っ越し業者に預けてもらっていた。


「修也、車に乗りなさい」

「わかった」

「どうだった?美成ちゃんと話せたか?」

「いや、会いたくないらしい・・・」

「そうか、嫌われても気を落とすなよ。東京で彼女でも作るといいさ」

「できる気しないけどな」

「はあ、あんたら分かってないわね~」


母さんがなにか言った気がしたが、気にしないようにした。

車が出発すると、中からなにかの音が聞こえる。

後ろからピョンっとウサギが出てきた。


「あ~、かわいい!!」

母さんはウサギを抱っこして撫でている。

なんか見覚えあるな・・・あっ

「このウサギ、この前のウサギだ」

「なになに?知ってるの?そうだ、この子飼いましょうよ!」


突然何を言い出すんだこの人は。


「ああ、いいんじゃないか?かわいいし」


父さんまで・・・・・・


家族が一人増えた。

車の中で、いろんなことを話しながら東京へ向かった。


「着いたーーー。新しい我が家だぞ!!」

「すごい。ピカピカだな」

「そうね」


ここから、新しい生活が始まった。

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