第4話 映画
すぐに日曜日になった。
今は、電車に乗っている最中だ。
「しゅうくん何見たい?」
「なんでもいいぞ」
「それじゃあこの恋愛映画ね!」
電車の中では今日何するかを話し合った。
見たことないくらい、はしゃいでいる姿を見て、なんとも言いがたい気持ちになった。
つい最近では話していなかったのに、もうこんなに話をしているのが不思議でしょうがない。
美成をずっと見るのはいけないと思い、外の景色を見ることにすると、田んぼなどの自然から次第に人工物が増えていることに気がついた。
目的の駅に着く。
歩いてからすぐのところに映画館はあるらしい。
「あっ」
後ろから声が聞こえ、振り替えると美成が駅のホームと電車の隙間で転びそうになっていた。
「あぶない!」
俺は咄嗟に手を伸ばし腕をつかんだ。
すごく柔らかい・・・・・・フニフニしてる。
俺はずっと掴んでおきたい衝動を押さえつつ、手を離す。
「気を付けないとダメだぞ」
「う、うん。気を取り直して行こっか」
映画館に到着して、チケットを買った。
席は空いていて、真ん中の一番いい席を取ることができた。
ーーー
カメラ男が踊っているのを見て、映画が始まった。
この踊り変だな。
横を見ると、楽しそうに画面を見つめる美成の姿がある。
ほんとに楽しみにしていたんだろう。
そんなこんなで、ある程度ストーリーが進むと濡れ場が出てきた。
これは気まずいな。どういう顔していればいいのかわからない。
美成は真っ赤になって、耳を塞ぎ、目をつむっていた。
ーーー
「面白かったね」
本当はあまり面白いとは思わなかったが、美成のあの姿は面白かったな。
一応面白いと言っておかないと・・・・・・
「そうだな」
「本当にそう思ってる?」
「ああ、思ってるよ」
能力者か?それとも俺は顔に出やすいのか?
「帰るか?」
「うん」
ーーー
「今日は楽しかったよ。しゅうくん」
「ああ、俺も楽しかったぞ。」
「じゃあまた明日ね」
お互いに手を降って別れた。
家につくと両親が色々聞いてきた。
「今日はどこまでいったんだ。Aか?Bか?それとも~~、Cだったりしてw」
「やるわね~修也!」
いったい何をやるというのか。
「ABCってなんだよ!」
「おまっ、知らないのか?」
「ああ」
「それは困ったわね~修也」
なぜだかわからないが、笑われてしまった。
スマホが鳴った。
今日は一緒に映画行ってくれてありがとう。
美成からのメッセージだ。
俺も返さないとだな。
俺も美成と話せるようになってよかったよ。
ーーー
その日以降、美成は学校には来なかった。
先生に理由を尋ねても詳しいことは一切教えてくれなかった。
「なんで・・・来ないんだよ」
胸の辺りが締め付けられるような感覚が続いた。
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