第3話 会話

日付が変わった。

もうすぐで学校につくが、話そうと意識すると何故か心臓がドキドキしてくる。


部屋に入ると美成はすでに座っていた。


「お、おはよう」

声に詰まるが、話せた方だと思う。


「おはよう…」

声が小さい。

一瞬驚いた顔をするが、それも当然だ。

なんてったって朝にあいさつしたのは3年以上前だったからな。


その後の会話は長くは続かず、また一日が終わってしまった。


「はあ、いったん話さなくなると元に戻すのは大変だな」


そんなことを言いつつ歩いていると、美成の方から話しかけてきた。


「しゅうくん、その、一緒に帰ろ?」


恥ずかしそうに見える。

俺も結構緊張したから当たり前だよな。


「ああ」



沈黙のまま田んぼ道を歩いている。

すると、美成が口を開いた。


「何で今日は挨拶してくれたの?」


この質問は……


「もう少しで、東京行くだろ?だから……」


この続きを言うのは少し恥ずかしい。

ふり絞って言う。


「もっと話しておきたいなと思って……」


南は笑顔でこちらを見ている。


「そうなんだ。じゃあ、残りの時間、一緒に思いで作ろうね。あ、MINE登録しよ」


「おお」


なんだか一気に関係性が縮まった気がする。

美成のおかげだが…



「それじゃあここでね」

「またな」


手を振ってくれる。

俺も小さくだが手を振った。


家に帰ると、メッセージが来ていた。


しゅうくん

今日は挨拶嬉しかったよ。

次の休みに出かけない?


なんだかデートみたいだな。

いやいや、ただ遊びたいんだろう。

けど田舎だから何にもないから、電車でどこかに行くのか?


俺はメッセージを返す。


どこでも大丈夫だぞ。


すぐに既読が付いた。

ずっと開いていたのか?

間髪入れずに返事が来た。


映画見に行こ!


映画か。ほとんど行ったことないな……

最近の映画って何やってんだ?

調べてみるとあまり興味のないものしかない。

それでもいかないと言える気がしない。


わかった、と返す。


時間が送られてきた。

時間は朝早くからだ。

6時らしい。

起きれるかな?目覚まし何重にもかけないと。

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