第2話 仲良く

先に美成に帰られた俺は、一人で家に帰った。


「ただいま」

「おう、おかえり」

「おかえりなさい」


両親は玄関まで出迎えてくれた。


「なんだお前、結構早かったじゃねーか」

「いや、東京行くって話したら黙り込んじゃってさ、無言で帰っていったんだよ」

「そうか。けど、伝えたからにはちゃんと学校でも会話すんだぞ!もう少しでお別れなんだから」

「そうだよな。頑張るよ」


俺は階段を上がって自分の部屋に入った。

俺の家は木造二階建ての一軒家だ。

田舎だからか、無駄に大きくて、余っている部屋がいくつもある。


「はぁ、何であいつと話さなくなっちゃったんだろ」


ベッドの上で天井を見つめながら考える。


「そうだ!あれだ!」




これは、小学校のことだ。


小学校も現在と同じように二人だけだった。

6年生の時に先生が体育大会をしようと提案し、種目なども決めた。

二人だけでやるのかよ、と思ったのだが、美成と先生はやる気満々でとても言い出せそうになかった。


当日、俺はすべての競技種目で美成に負けた。

小学生の時は美成に負けたのがすごく悔しくて、恥ずかしくて、話さなくなっていった。



「はあ、何であんな態度とっちゃったんだ」


頭を抱えて唸る。


「別に嫌いじゃないんだけどな。まあ、これから話せればいいか」


下に降りて夕飯の確認をしよう。


「母さん、ご飯はできてる?」

「もうできているわよ」


ダイニングテーブルの上には刺身の盛り合わせが置いてある。

俺は急いで座りに行く。

座って一口食べる。


「美味しい!」


刺身とごはんは最高だな。何杯でも食べられそうだ。


「ごはん、おかわりあるわよ」

「ちょうだい!」


結局俺は3杯もおかわりした。

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