室町幕府の組織 ②
侍所
武士の統率を行う部署。初代は高師直が担当した。
2代将軍足利義詮のときに検非違使も吸収し、山城国全体の警察権と徴税権を掌握した。しかし3代将軍足利義満のときに山城守護職が置かれたため京の市中のみを管理する機関となった。
侍所のトップは所司もしくは頭人とよばれ、赤松、一色、京極、山名が交代で務めたため
ちなみに実働は所司代が行い、土一揆の鎮圧などでは各大名に助力を要請するなどしていた。
そんな侍所であるが、応仁の乱が発生すると所司代が対応困難となり京極材宗が最期の侍所所司となって役職がなくなる。
奉公衆
足利将軍が持つ直属の軍事力でいわゆる親衛隊的存在。
整備が始まったのは3代将軍義満のころで、当初強力な守護同士がゴタゴタやって康暦の政変で管領細川頼之が失脚したことに端を発する。有力守護が好き勝手やらかしたことにブチギレた義満は守護に依存しない軍事力の整備を始める。まず永和年間に馬廻衆の整備からはじまり応永年間(1394年から1428年)に一応の完成を見る。
奉公衆の最初の活躍は山名討伐となった明徳の乱では山名勢5000騎を8000騎(うち5000騎は義満の馬廻)で打ち破り、ついで応永の乱では義満の馬廻2000騎を含む3万の大軍で大内や義満に不満を持つ諸勢力を撃破し守護大名の勢力を削った。
この後も9代将軍足利義尚の頃に長享・延徳の乱で六角征伐を行ったり活躍を見せたが応仁の乱で奉公衆のなかでも帰国してしまったものなどが出現し弱体化していく。
10代将軍足利義材の頃に六角征伐を再度出陣したが、このときは管領細川政元により明応の政変が起きて奉公衆が事実上制度破綻し形骸化していき、足利義昭が織田信長に追放されたときには義昭に追従したのは2割程度。最終的には豊臣政権となって将軍職を辞任した際に奉公衆も解散となった。
なお奉公衆の組織としては番衆・番方と呼ばれ5つの番にそれぞれ番方には50~100人ほど所属。その下に番方が抱える郎党等が存在しており概ね5,000から10,000人を動員できたらしい。
所属する番は世襲となっており、それぞれ強固に結びついていたそう。なお明智光秀の家臣であった斎藤利三なども奉公衆だったらしい。
京都市中の屋敷地の安堵・訴訟・打渡などを土地に関する行政を扱った。
小さなものは地方自身で解決するが大きな案件などでは将軍が主宰・臨席する御前沙汰を行い、地方頭人が奉書の形で裁決を通達していた。
ご多分に漏れず応仁の乱で機能停止する。乱後に復活するものの幕府の衰微とともに機能低下をきたし大永年間(1521年から1528年)には消滅した。
鎌倉府
室町幕府において武家の都たる鎌倉におかれた東国を管轄する副都。
管轄範囲は関八州(相模・武蔵・上野・下野・下総・上総・安房・常陸)と甲斐・伊豆であるが信濃守護不在時は信濃も管轄したりした。なお明徳3年には明徳の乱で西国の大勢力山名を討伐するため、元々室町幕府からの独立志向の強い鎌倉府の宥和目的も兼ねて遠国である奥羽も鎌倉府の管轄に加えられた。
政治的には元々鎌倉府から安堵推挙状などが送られ室町幕府で評定されていたが応永の乱(応永6年:1399年)前後を契機として、鎌倉公方が直接に安堵権を行使するようになり政治的に独立した存在になる。
こうして鎌倉公方家の絶頂期が到来するが第4代鎌倉公方足利持氏の頃にはその専横が行き過ぎて関東管領上杉禅秀らに鎌倉から追放される。これに対して持氏は室町の力を借りて討伐したが、関東の伝統的武家は関東管領上杉禅秀に同情的であり鎌倉公方と関東武士の間で軋轢が生じ弱体化へとすすんでいく。
鎌倉公方足利持氏に反発する武家は室町に直接臣従し京都扶持衆として徒党を組んでいく。これにより管轄国を侵害された鎌倉公方と室町幕府の対立が深化していく。
そして4代将軍足利義持が亡くなると足利義教が籤将軍となるが足利持氏も将軍を所望し京都と鎌倉の争いになる。ここで関東管領上杉憲実が調停を行っていたが持氏が関東管領を討伐し始めたことで籤将軍がガチ切れし鎌倉府を攻め落とす。上杉憲実は持氏とその嫡子義久の助命を嘆願したが、万人恐怖籤将軍はそんなことは顧みず自害に追い込んだ。
鎌倉公方家を打ち倒した後籤将軍は自分の子供を鎌倉公方に据えようとしたが嘉吉の乱で取りやめとなり、結局持氏の遺児足利成氏が8代将軍足利義政に偏諱を賜り鎌倉府を再興する。
鎌倉府を再興した足利成氏であるが関東管領との対立は続き、享徳の乱で鎌倉を放棄して古河へと移座していく。
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