室町幕府の組織 ①

室町幕府の組織ってわかりにくいです。政府組織なので仕方ないですが。ってことで自分用の理解も兼ねて整理出来ていませんが整理。


将軍:幕府のトップ。正式名称は征夷大将軍。漢名で大樹、柳営、幕府、幕下など。

 元々は蝦夷討伐の将軍で、794年(延暦13年)に大伴弟麻呂おおとものおとまろが任命されたことに始まる。次いで坂上田村麻呂が征夷大将軍に任命されるが、その後は征夷大将軍に補任されなくなる。

 復活するのは源頼朝が奥州藤原氏を討伐するために大将軍を求めたとされるが実際に征夷大将軍に補任されたのは1192年(建久3年)ですでに奥州合戦は終わっておりあまり必要ではなかった様子。しかし三代将軍実朝の権威付けのため後鳥羽上皇や北条氏から無位無官でも使える令外官たる征夷大将軍は便利であったとされるが、吾妻鏡では宮将軍や摂家将軍の権威付けのためにこそ必要とされ、武家の棟梁の称号となっていったらしい。

 そんな征夷大将軍に足利尊氏は1338年(暦応元年)に光明天皇から任命される。しかし室町幕府そのものは有力守護の細川氏、畠山氏、斯波氏との連合政権であり将軍家の力は大きくなかったことで、応仁の乱の遠因の一つとなった。

 一方で室町幕府三代将軍義満の時代に公武合体を推し進め朝廷から統治権を概ね簒奪し、以後朝廷は権威としての政府として残存していくことになり、ここに権威と権力の分離が一応の完成をみる。

 足利将軍の権威と権力のピークも義満の代であり、足利義教が嘉吉の乱で弑逆され、足利義勝、足利義政と2代続けて幼い将軍が就任したことで将軍の権力が弱体化する。さらに応仁の乱が生じたことで更に将軍の権力が低下していく。

 応仁の乱からの戦国時代においては将軍位を巡って各大大名の思惑が絡み合い、流れ公方になるなど更に弱体化していく。足利義昭は三好長慶や織田信長などを使って幕府の権威権力の回復を試みたが室町幕府伝統の複数大名協調統治を目指したため破綻し、備後の鞆の浦へと逃れ豊臣秀吉が政権を獲得したところで征夷大将軍を辞任することとなる。

 なおこの間に織田信長を征夷大将軍に任官する動き(三職推任問題)があったようだが、言い出しっぺが朝廷側か信長側かはよくわかっていない。

 また豊臣秀吉も征夷大将軍に推薦され、理由は不明だが任官拒否している。

 三英傑の中で徳川家康のみ征夷大将軍の権威を持って公儀となることを選択する。概ね家康の選択は功を奏したと思われる。


管領:将軍に次ぐ室町幕府No.2の存在。将軍を補佐し政治を取り仕切る。ただし室町幕府初期には存在せず、執事がその任にあたっていた。

 管領に成れるのは足利氏一門の斯波氏・細川氏・畠山氏であり、三管領(執事別当)と号した。 

 執事はその名の如く従来その家に従うものであり、足利氏と同格とされる斯波氏が執事を依頼された際に執事から管領になったらしい。

 なお応仁の乱の時点では斯波義廉が管領であったため細川勝元は自身名で発給文書を出し、細川勝元が管領についた後もそれが続いたため管領の形骸化と京兆専制へとつながっていく。そんな管領であるが永正の錯乱に置いて細川高国が自害した後は管領の任命はなくなった。

 なお細川晴元の管領就任は史実ではない模様。


評定衆:鎌倉幕府では最高政務機関であり、行政・司法・立法のすべてを行う最高機関であったが、室町幕府に於いては足利氏一門の栄誉職的な色合いが濃くあまり権力は持っていなかったらしい。

 なお足利一門以外から評定衆に選ばれた際には出世評定衆とよばれ格が下がる者だった様子。


政所:元々の由来は親王および従三位以上の公家の家政を担当する機関のこと。荘園時代には荘園業務を担っていたらしい。

 鎌倉幕府では一般政務・財政を司る機関となっていた。

 室町幕府では財政と領地に関する訴訟を取り扱う機関となっており、当初政所執事は二階堂氏や佐々木氏流京極氏が担っていたが伊勢貞継が当時の政所執事である二階堂行元を追い落として就任すると以後伊勢氏の世襲となる。なお室町幕府末期、足利義輝と敵対した伊勢貞孝が討たれると摂津春門が政所執事となる。永禄の変で足利義輝が討たれ、足利義栄が将軍となると伊勢虎福丸(貞為)が政所執事に任命されるが、足利義昭を奉じて上洛した織田信長に放逐され再び摂津春門が政所執事となる。

 そんな摂津春門は伊勢神宮の禰宜職について武家執奏を無断で行ったことを足利義昭に咎められ解任される。

 その後は最後の政所執事として伊勢貞興が任命されている。

 伊勢貞興は槍が得意だったらしく本能寺の変で二条新御所を攻めた際に自ら率いる精鋭二千と共に槍を振るって奮戦し、織田信忠を自死に追い込んでいる。なお山崎の戦いでは精兵をもって数に勝る中川清秀を苦しめるも黒田官兵衛や羽柴秀長に背後を突かれて戦死している。

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