〈他家紹介9〉〈宗派紹介9〉
〈他家紹介〉
由利十二頭
室町~戦国期にかけて出羽国由利郡で一揆結合した豪族衆のこと。
元々由利郡は由利氏が治めていたが、源頼朝の奥州征伐で敗北。そのまま知行を認められていた。しかし和田合戦で不手際を働き所領を没収された。
なお由利氏没落後は地頭のいない期間が約100年あり、その間乱妨取りが横行する。業を煮やした北条氏が十二頭を信州から派遣したというが、確証はない。
戦国期になると北に秋田氏、東に小野寺氏、南に武藤氏と最上氏が割拠し、全体で5万石程度の由利郡は周囲に翻弄され、一揆関係は終焉し、さながら小惑星帯の如く衝突と分裂を繰り返した。
その十二頭は仁賀保、矢島、赤宇津、子吉、打越、石沢、岩谷、潟保、鮎川、下村、玉米、滝沢が主なもの。
仁賀保氏:由利郡仁賀保(現にかほ市平沢)付近に勢力を持った。仁賀保藩を経て旗本となっている。
矢島氏:由利郡矢島(現由利本荘市矢島町)付近に勢力を持った。秀吉の奥州仕置に名が見られないことからそれ以前に仁賀保氏に滅ぼされたと思われる。
赤尾津氏:由利郡赤尾津(現由利本荘市松ヶ崎~岩城亀田)付近に勢力を持った。関ヶ原合戦後に改易され最上氏や佐竹氏などに仕えた。
子吉氏:由利郡子吉(現由利本荘市埋田)付近に勢力を持った。後に佐竹氏に仕えたとされる。
打越氏:由利郡打越(現由利本荘市内越)付近に勢力を持った。大坂の陣の功績により3000石の交代寄合旗本となったが主家は後継ぎがおらず断絶。分家が500石の旗本となって存続したらしい。
石沢氏:由利郡石沢(現由利本荘市館)付近に勢力を持った。秀吉に400石弱の所領を安堵されたが、関ヶ原合戦後に最上氏に仕えた。
岩谷氏:由利郡岩谷(現由利本荘市岩谷町)付近に勢力を持った。秀吉に900石弱の所領を安堵されたが、関ヶ原合戦後は最上氏に仕え、最上氏改易後は秋田氏、そして佐竹氏に仕えることとなった。
潟保氏:由利郡潟保(現由利本荘市西目町潟保)付近に勢力を持った。藤原氏を祖とするらしい。秀吉の奥州仕置に名前は無い。江戸時代には酒田氏に仕えた。
鮎川氏:由利郡鮎川(現由利本荘市東鮎川)付近に勢力を持った。奥州仕置に名前は出ていない。最上氏に仕えたらしいが詳細不明。
下村氏:由利郡下村(現由利本荘市東由利蔵)付近に勢力を持った。江戸時代は佐竹氏の陪臣になった。
玉米氏:由利郡玉米(現・由利本荘市東由利館合)付近に勢力を持った。奥州仕置に名前はない。本荘藩に仕え、直系の子孫が存続しているらしい。
滝沢氏:由利郡滝沢(現・由利本荘市前郷字滝沢館)付近に勢力を持った。由利氏没落時に改名したものと称している。現在の銀座の基礎を築いた由利公正はその子孫にあたる。
〈宗派紹介〉
華厳宗
中国大乗仏教の一派で、杜順を開祖とする。日本には736年に伝来し、その思想が反映されて東大寺が建立された。鎌倉時代に密教の思想が、さらに教学が確立した。南都六宗の一つで本山は東大寺。
その東大寺は奈良時代に聖武天皇によって建立された。建立当初は推定70mとされる七重塔などが建立されていたそうだが、度重なる戦乱で荒廃し、現存するのは台座の一部。それ以外はすべて後世に再建されたもの。
東大寺を代表する盧舎那仏像は752年に開眼会が行われる。このときはインドから招かれたボーディセーナ(菩提僊那)僧正が開眼供養の導師を務めている。
なお国力をかけて東大寺を建立したため財政難に陥り、農民層の負担が激増し、平城京内では浮浪者や餓死者が後を絶たず、租庸調の税制も崩壊寸前になるなど悪影響が生じた。聖武天皇崩御後に「東大寺などを造営し人民が辛苦している。政治が無道だから反乱を企てた」と橘奈良麻呂がクーデターを画策した。
平安時代になると桓武天皇により南都仏教抑圧策がとられたが、空海が別当となり真言院が開かれると天台宗も加えて八宗兼学の寺となる。また黒田荘(伊賀国名張郡)が寄贈されたりした。
なお源平期の1181年(治承4年)に平重衡によって大仏殿は焼け落ち、大仏の頭や手も焼け落ちるなど壊滅的に破壊された。なお源頼朝など鎌倉幕府の支援により再建が進められ1237年(嘉禎3年)に講堂が再建がなされ、再建工事が完了した。
また戦国期の1567年(永禄10年)に起きた東大寺大仏殿の戦いで焼け落ちた。このときも大仏が損壊したが、このときはすでに方広寺に大仏があり、再建はなかなか進まず、再建されたのは1691年(元禄4年)のことである。
なお東大寺大仏殿の戦いで東大寺に火を放ったのは松永久秀、あるいは三好三人衆か、単に失火したのかなどまだ定説はないもよう。なおルイス・フロイスの日本史によると東大寺に居たキリスト教徒が放火したと書いているが確証ではない。
明治時代になると廃仏毀釈の影響で知行地3200石を失い困窮する。しかし元々の知名度などもあったのか全国で勧進がすすみ1903年(明治36年)には老朽化した大仏殿などの修繕のために72万円の工費をかけ鉄骨トラスなど当時の先端技術をくしして修繕がなされた。
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