永正二年の登場人物

〈遠野の住民〉

阿曽沼孫四郎(後の阿曽沼親郷):主人公。病気で死なない程度のチートと少しだけ知識チート。だいぶ戦国時代になじんできた。

阿曽沼守親:孫四郎の父親。左馬頭、史料が少なくよくわからない。

阿曽沼梢:孫四郎の母親。史料には一切出てこないので創作。

阿曽沼豊:史実には登場しない。創作人物。


浜田雪:浜田清之の一人娘。目に入れても痛くないけど気の強さに清之も閉口することが多い。主人公の幼馴染み枠から正妻にランクアップ。

 ふふん、幼なじみは勝ちヒロインなのよ。

浜田三河守清之:雪の父親、傅役。史料がない。時代は不明だが実在したらしい。武人だが、書や芸事に明るい。と言う設定。葛西とも縁ができてウハウハ。

浜田春:清之の妻。気も武も強い。創作人物。あなたも鍛えてあげましょう。


鱒沢治部少輔守綱:遠野阿曽沼の分家1、守親の弟。

 鱒沢家自体は戦国時代末期、九戸氏の乱へ阿曽沼広郷が出兵した隙に反旗を翻し、主家を追い出す。

 本作では安俵城の守備を任されるなど重要なポジション。


宇夫方守儀:遠野阿曽沼の分家2、守親の末弟。医学を学びに足利学校に入校。入校時に出家するため儀道と名乗る。足利学校から帰郷してからは還俗し、守儀に戻している。腑分けなら任せろー。ちなみに独身。

 宇夫方家はもともと遠野の豪族だったらしい。永享九年、岳波・唐鍬崎・大槌の連合軍が遠野を襲った際にも静観を決め込んでおり、当初は阿曽沼家に好意的ではなかったと目されている。


〈遠野の武将〉

松崎氏:高清水山で牧場を任されている。史実では松崎堅物なる人物が阿曽沼広長の重臣となっていた。阿曽沼家没落後は阿曽沼広長とともに伊達氏に逃れ、赤羽根峠の戦いで討ち死にした。


来内茂左衛門紀之:創作人物。阿曽沼左馬頭守親の側近。名前の由来は鍋倉城の近くを流れる来内川(らいないがわ)から。


佐々木主税:宮守にある鳴沢館(なりさわたて)を守っていた。金山の監督などもしており、史実では主家である阿曽沼家を凌ぐ勢力を持っていた可能性がある。拙作では斯波氏との戦いで討ち死に。


小友右衛門次郎:遠野市小友町にあった小友館の武将。斯波氏との戦いでは弥太郎ら砲兵の警備を担当。


毒沢民部義政:和賀氏の庶流の一つ。本作では遠野侵攻時に寝返った。

毒沢彦次郎丸:転生者。前世ではライン工だった。たまたま同年代だったので主人公の小姓に抜擢される。


〈技術者グループ〉

紙屋製紙司箕介:紙すき。非転生者。明応の地震で焼け出され人買いにかわれ遠野へと流れてきた。もともと紙すきの家系。葛屋は知らなかったので二束三文で売られた。

 阿曽沼家の富の源泉。功績から紙屋の苗字を、製紙司の役職名を得た。


水野工部大輔弥太郎:転生者。もとは工学をやっていたらしい。それも過去の道具を再現してその効果などを評価していた。

 大砲と鉄砲の開発に専念し、斯波氏との戦いを優位に進めた立役者。蒸気機関の開発を少しずつ進めていたが、高炉開発にかかりきりとなり蒸気機関は停滞中。

 

小菊:非転生者。弥太郎の水車小屋に出入りするお手伝いさんのはずだが、天文、数学に興味を持ち、九章算術など算術書の翻訳を行った。現在小学校で使う教科書作成にかかっている。


一郎:転生者。小菊の弟。転生前は小学校の教師だった。機械いじりが好き。時計開発を行い、オモリ式の時計を開発。現在振り子時計の研究をしている。教科書作成で首を突っ込んでカンヅメ中。


陶山陶工司右近:綾織の農民であったが、たまたま陶器の出来が一番良かったので登り窯の窯元に任命された。南右近とは別人。

 陶器作りに煉瓦製造も任され、陶山(すえやま)の苗字と陶工司の役職名をもらった。


〈諜報部:今作では保安部〉

左近(沼野保安頭左近):非転生者の元山伏。麦踏み大会で優勝し扶持をもらって臣下となる。山歩きに長けるので情報部担当。沼野保安頭左近と命名され保安頭(情報部長)になる。作戦時は早池峰山の天狗をモチーフに天狗の面をつけるよう主人公に指示されている。

鴎:和賀定行救出作戦のチームリーダー。腕が立つ。


〈旧大槌グループ〉

大槌孫三郎(得道):大槌氏当主 大槌城にいた。阿曽沼に恭順後は出家して得道になった。得守が留守中の大槌領を守ることがある。

大槌孫八郎得守:大槌氏嫡男。元服して得守というなんかオトクそうな名前になった。途中で元船乗りの転生者が憑依した。あまり領地経営に興味はないが、ベッチャロの娘を妻に迎えたため否応なしに領地経営に巻き込まれるかもしれない。造船所と操船所は得守が主導して作られるはず。

狐崎玄蕃:大槌氏に使えている。阿曽沼から見れば陪臣。釜石を担当している。外海に出られる得守を少し羨ましく思っている。


〈商人グループ〉

葛屋:京の商人。葛屋の旦那で通っている。名前はまだ考えていなかった。たまたま遠野に人売りに来た縁で阿曽沼の御用商人となる。遠野に行商にでた隙きに焼き討ちされ、遠野に逃げ延びた。葛屋を改め、遠野商会の表の顔。

 主人公の命令で斯波の御用商人「篠屋」にもなっている。

田助:転生者。もともと田吉という名だった。遠野に店を構えるに当たりだれも希望者がいなかったので番頭となり田助(助は番頭に使う名らしい)と名付けられた。田助は主人公を転生者ではないかと考えているが、主人公は田助が転生者である事を知らない。ちなみにそろばんが使えるので学校に駆り出されることとなっている。


〈公家グループ〉

四条隆永:羽林家、極官は従一位権大納言。家業は庖丁道・笙。一条家の家令。

大宮時元:小槻氏の地下人。太政官弁官局の家系。義父の長興の代に官文庫が応仁の乱で焼けて以降、壬生家に押されて衰退。出雲国人佐波元連の子。史実では息子の伊治が大内に下向し大寧寺の変で殺され、断絶する。

 拙作では遠野に下校し小菊に教えながら九章算術など算術書の翻訳を行っている。

勧修寺政顕:がじゅうじまさあき。従二位権中納言、藤原北家高藤流の名家。後奈良天皇が生まれたのはこの勧修寺政顕邸。晩年は畠山義総を頼って下向し出家する。

春宮:後の後奈良天皇になる方。皇統でありながら肉食に興味を持つ。


〈敵方〉

斯波孫三郞:後の斯波経詮の通名。幼名がわからなかったので転用している。転生者。斯波家が割れないようになんとかしたいと思っている。母親から期待されているものの距離を置かれているところもある。

斯波千春殿:斯波詮高の正室。史実では不明。阿曽沼に負けてから逃げ帰ってきた重臣たちを遠ざけている。

斯波熊千代:斯波詮高の次男。史実でいえば雫石詮貞荷生る人物。幼名は不明だったため適当に名付けました。兄の孫三郞にはあまり会えていない。


〈人間以外〉

女神:主人公を連れてきた。主人公が上役の神からなぜか気に入られているのに疑問はあるが職務に忠実。見た目は神様なので自由に変身でき、実は会うたびに姿が違う。会えるのは夢の中だけ。

  神界にはポイント制のなにかがある様子。ポイントを貯めるとできる事が増える様子。酒好きで飲み友達にバックス(Bacchus)がいる。

白星:芦毛の馬。主人公など特定の人物以外は乗せない。


〈産品〉

亀の尾:東北地方の稲作を語るときに避けて通れないのがこの銘柄。明治時代に東田川郡の篤農家、阿部亀治が発見・改良・普及させた品種。強風に耐え冷害や病気にも強いことから瞬く間に広まった。酒造好適米かつ寿司飯としても優秀とされ、のちの農林一号やコシヒカリ、ササニシキなどの食用米、五百万石などの酒米の祖先である。虫害に弱く、耐肥性にかける(化学肥料で籾がもろくなる)ため多収品種に取って代わられた。今作ではこの亀の尾をベースに品種改良を始めた。


蕎麦:この時代に蕎麦切り(いまの麺タイプのそば)があったかは不明。天正2年(1574年)の定勝寺修繕工事にそば切りが饗せられたとあるのでもしかしたらすでにあるかもしれない。そば切りができる前は粒食や蕎麦がき、あるいは南部せんべいのように食べられていたっぽい。一般に広まるのは饂飩と同じく江戸時代から。

 現時点では救荒食物の面が強いので蕎麦切りは未登場。


粟:五穀の一角。エノコログサ(ねこじゃらし)が祖先とされる。稲よりは寒冷地に耐える。稗と並んで縄文期から栽培されていた可能性が高い作物。アイヌでは粟または稗で酒を仕込んでいた。多湿を嫌い、求肥性が強く連作障害が生じる。味は結構おいしい。


稗:五穀の一角。現代では田んぼの嫌われ者だが、冷害に強く長らく活躍した。

 のぎ(穂先の毛)が離れにくく他の穀物と同じように精製すると歩留まりが落ちる。蒸篭で蒸してから精白すると取れやすいが、燃料が貴重な時代ではやはり歓迎はされない。鳥による食害も多い。江戸時代までは食害というと鳥による被害が多かった。味は悪くはない。


大麻:おおあさ。繊維植物の中でも重要なものの一つ。栽培は容易で荒れ地でも育ち、実は食える。現代では繊維の取り出しに難があるため大量生産に向かず栽培地域は減少傾向。さらに現代の主要栽培地は中国だが他の換金作物より歩合が悪いことも栽培面積の低下を招いている。布は丈夫で帆布として用いられた。海運になくてはならない作物。


ベーコン:塩漬けにした猪や鹿肉を燻製にしたもの。味は豚肉に比べるとあっさり。特に鹿肉はベーコンというよりもジャーキーな感じ。酒のつまみにはなる。自分で作る際はいろんなサイトで紹介されていますのでそちらをご参考ください。そんなに難しくはないです。


南部せんべい:小麦粉にごまを入れて塩と好みで砂糖を入れて練って型で焼いたもの。ボリボリいけて旨い。味噌汁に入れてせんべい汁にして食べることもある。

 由来は南朝の長慶天皇が南部地域を行幸された際に、楠木正成(くすのきまさしげ)が自身の兜で練ったそば粉にごまを入れたものを焼いて献上したことが由来の一つとされる。

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