人を呪わば×××××
比良
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そんな彼はマジックメールというサイトを見つける。このサイトに自分のメールアドレスを登録するとニセ物の相性占いのページが作成される。ページには『好きな人との相性、バッチリ占っちゃう! アナタの名前と好きな人の名前を入力してね♡ →結果を見る』などと書いてあるが、実際には入力した情報がページの作成者に送信されるというものだ。要するに引っかかった人の好きな人がばれるという釣りサイトである。
まあ、見るからに胡散臭い占いで、引っかかる人がいるのか疑問だったが、話のタネになれば儲けものと、作成したページのリンクをクラスのライングループに貼り付ける。
早速ラインの通知が来る。『それニセ物の奴じゃん(笑) マジウケる。』とクラスの女子が発言する。まあバレるよな、などと思っていると件のサイトから一つのメールが届く。そこにはある女子が自分との相性を占ったことが記されていた。
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そんな彼女は
実にくだらない、と彼女は思う。確かに、彼は私に好意を持っているだろう。ことあるごとに話しかけてくるし、いかに自分がイイ男か
しかし、彼女はその聡明さをもって三上勇雅という人間の本質を見抜いていた。彼は私が好きなのではない。クラスで一番の女子が好きなのだと。ああいう目立ちたがりは彼女以上に彼女がいる自分を愛するのだ。ああ、いっそ告白でもしてくればこっぴどく振ってやれるのに、と恋バナの裏でそんなことを考えていた。
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そんな彼は恋をしていた。クラス委員の
ある日のこと、クラスのライングループにとあるページのリンクが貼られる。『この相性占いマジ当たるからやってみ!』とクラスの中心の男子が発言する。相性占いと聞いて彼の頭に浮かんだのは朱里の顔だ。彼は思わずリンクをクリックしてしまった。いやいや、占いなんて信じてないからな、と思ってはいるのだがどうしても気になる。そうだ、クラスで一番お似合いの二人。彼らの相性が良いと出ればこの占いを信じてやろう。そう思って、彼は桐谷愛華と三上勇雅の名前を入力した。
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井上朱里は優しい少女だ。人をよく見ていて、困っている人がいれば声をかける。クラス委員の仕事もみんなのためにと積極的にこなす。
時は昼休み。クラスは期待と興奮に満ちていた。とうとうあの三上勇雅が桐谷愛華に告白するのだという。しかも、皆の前で堂々と。クラスの皆が注目する中、その中心たる男女が相対する。これだけの衆人監視の中で告白するのだから相当自信があるのだろう。
朱里も内心「きゃー」と興奮していたが、クラスの中に一人、明らかにテンションの違う男子が居た。教室のすみっこの席で必死な顔で手を組み何かを祈っているようである。朱里は彼の異様な雰囲気を察して声をかける。「どうしたの? 新田くん。」「あぁ、井上さん。実は……。」彼はしどろもどろになりながら、昨日の出来事を説明する。どうやら昨日のマジックメールに引っかかったらしい。おっちょこちょいな新田君らしいと、そう思いながら続きを促す。「それで、三上くんに新田くんの好きな人がバレて、
そんなことを話していると、いよいよ過剰な自信に溢れた男子が口を開く。「好きです! 付き合ってください!」しかし、クラスの皆が期待する返事は帰ってこない。「ごめんなさい。何を勘違いしたのか知らないけど、お断りよ。」クラスの雰囲気が凍り付く。三上勇雅はその場に立ち尽くして、この世の終わりみたいな顔をしている。しかし、クラス中の皆の同情を集めることには成功していた。
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「あぁ……。ぼくのせいだ。ぼくが三上くんを勘違いさせちゃったから。」真一は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。ほくのせいで公開処刑のような告白が行われてしまった、と血の気が引く思いをしていた。そんな彼に目の前の朱里が語りかける。「そんなに顔を青くしなくてもいいよ。結局は三上くんの自業自得じゃない。言うでしょ、人を呪わば穴二つって。」
井上さんが言うなら、そうかな、と真一は落ち着きを取り戻す。「ぼく、悪くないかな……?」「悪くない、悪くない。顔色、良くなってきたね。」「あ、ありがとう。井上さんのおかげだよ。」「ええ。どういたしまして。」真一が顔を上げると彼女の顔が見える。なんだろう、井上さんの笑顔が、ちょっとにやついているというか、優しいというより面白がっているっていうか、真一がそんな感想を抱くと彼女が問いかけてくる。
「ところで新田くん。聞きたいことがあるんだけど。」「なに?」「さっきワタシとの相性を調べようとしたって言わなかった?」「え?」真一は自分の発言を思い出す。その意味するところに気付いた瞬間。「ふふっ。顔、今度は真っ赤になっちゃったね?」
人を呪わば××××× 比良 @hira_yominokuni
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