何となくタイトルに惹かれて読み始めました。すぐに「同題異話」の作品だということには気づいたのですが、それでも何だかワクワクが抑えられなくて……すっごいホラーでした。少女の語る世界が何処か薄暗く、郷愁があるのがドキドキして素敵《怖い》です。そして、結末というか、ネタばらしの部分が最高でした。このタイトルにこういうネタを扱われるのは、後味がじんわりとして好きです。
「私」の近所に住む、全ての指に高そうな指輪をしている通称・宝石おばさん。ひょんなことから、「私」は宝石おばさんの家に入ってしまい……。「私」の一人称視点によるホラー作品です。その目線を通して、恐ろしい景色も、恐怖した心情も臨場感と共に伝わります。特筆すべきは、宝石おばさんの不気味さです。素晴らしいキャラクター造形だと思いました。