最終話・輝ける者へ・・・悪の組織フォーエバー!!

べリアロスは狼狽える事なく、残った分離怪人を凝縮して攻撃へ移る。

しかし・・・


「ハイパー・シャドー・ストライク!」

ウルトライダーシャドーの蹴りがべリアロスの分身に直撃する。

化け物には化け物をぶつけるのが理にかなっているのだ!


「塩河くん!決着をつけてこい!」


「敵の敵は敵理論って恐ろしいですね・・・」


身体のあちこち痛い部分の骨を鳴らしながらも光の力で

ウルトライダーファイナルの肉体は修復されていく。


そうしてる間にべリアロスは周囲から漂う温かいモノを感じ取る。

この怪物は繊細に物事を感じ取り

純粋過ぎるが故に本当の闇堕ちをしてしまったのだった・・・

「光・・・?絆・・・?笑わせるな!信じれば裏切られるじゃないか!」


再び殴り合いが始まる。拳、肘、蹴り、拳・・・

パワーが高い二体が打ちあうたびに地鳴りの様な轟音が響く。

そうして手四つの掴み合いになるとお互いのエネルギーが禍々しくぶつかりあい

耳を劈く雷鳴が叫ぶ・・・


「信じあわないと・・・何も始まらないんです!」

悪の組織の人間としてはアレかもしれないが

損害保険と言う助け合いから成立する世界で彼が最も大事にしている事。

「生きていれば続きがある」・・・ちょっとした希望だけで生きていけるのだ。

それを自分から投げ捨ててしまったら、本当の幸せは手に入らない。

そして、自分が生きてるかどうか確かめるのがお仕事と言う事実・・・


そして悪の組織が最も大事にしている事は

「人は孤独に陥りやすいが、孤独に耐えられる人は誰も居ない」と言う概念。

誰もが幸せになれる世界ではない。いつだって言葉にならない負の感情が渦巻く。

流されてしまう事だってある。だけど不満だの不景気なこのご時世でも

一緒に手を取り合い、歩いてくれる友達。

それはこの世の何よりも大事なモノじゃないだろうか?


べリアロスは破壊の神になりたかったのかもしれない。

だけど、孤独な神様は果たして幸せなんだろうか・・・

怒りも悲しみも無い心からウルトライダーファイナルの放つ

「ダークネス・ファイナル・ストライク」・・・

センスの無い首領が名付けたクソダサネーミングの必殺技の構えに映り

その天をも穿つ様に空に舞い上がった、一人の英雄の蹴撃は

怪物の特殊能力すらも遮り、曇天から月が見える程の爆炎を上げて

一撃のもとに葬り去った・・・



数ヶ月後


「はーい。新規怪人の皆さん、並んで並んでー!」


全く、悪の組織で最強ダークヒーローとか、私は本来そういう柄じゃないんです。

いつか言ったでしょう?あんまり暴力の類は嫌いだからって・・・

え?何人か千の風にしただろうって?細かい事は気にしない。いいね?



はいはい。怪人共済では再びヒーローとドタバタ仲良く喧嘩する為に

「一回爆発無料プラン」等、新機軸の保障を充実させる事により

顧客満足度(当社比)と新規参入に悩んでる方に向けての

事業斡旋など、日々弛まぬ努力の元、それはそれはもう良心的価格設定の下

お怪我や車等の保険に関しましても幅広く対応しております。


ヒーローが街を壊すけどそれもまたエンタメ!

悪の組織はそいつらと戦うけどそれもまたエンタメ!

ルールを守ればみんな友達!

CGもVFXも無い本当の闘いがしたいクレイジー野郎は

悪の組織シオカワにご一報を!明日のエースはキミだぁ!!!


      -----悪の組織の損害保険 完-----

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悪の組織の損害保険:怪人見積お安くします! 滝川ヒロキ @Builder_Takuya107

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