『火の島』 下の下の中の3


 ぼくたちが、火山から降りようとした時、焼き鳥おじさんから、こんな通信が来たのです。


 『君たち、さっき避難した場所に行けるかな。』


 『そら、出来ると思いますが、噴火してるんですよ。火砕流とか来たら、お仕舞いです。』


 『その、パワースーツでもだめか?』


 『いやあ、大丈夫だとは、思うにゃんこ、いくらなんでも、そんな危険はやだにゃんこ。』


 珍しく、ママが本音を言ったらしい。


 『いやあ、実は、確かではないが、宇宙ごきが連中の本部に、危ない爆弾を設置したのは、100年以上前らしい。その、実際の威力は、言われているほどではない、と、おいらは、思うんだ。宇宙ごきの中央本部に勤務していて、われわれに内通していたある幹部によれば、『あれは、脅しだごき。地元の幹部には、知らせていないがごき。そんな、惑星をたとえ一部でもぶっ飛ばすような危ないもの、埋めるわけがないごき。復興にも、コストがかかってかなわんごき。』だ、そうだ。実態は、小型の熱核爆弾クラスらしい。しかし、これが真実かどうかはわからない。ただ、君たちがいる場所は、ここの本部からは、死角になるし、その高さなら、たとえば、1メガトン級ほどの水爆程度なら、被害はない。』


 『ちょっと、まちにゃんこ。あんたは、どうなのよにゃんこ。』


 『いやあ、言いにくいが、さっきの爆発で飛んできた岩で、パトカー、壊れたよ。まあ、ここでも、なんとかなるさ。たぶん、そう違わない。』


 『えー?!』


 僕たちは、絶句しました。


 『それは、困ったにゃん。』


 『でも、降りようよ。ぼくは、そのほうが良い気がしてきた。このパワースーツは、だれが開発したの。』


 『そりゃ、まあ、宇宙ごき、にゃんこ。』


 『ならば、なんだか、信用しがたいよ。確かに、すごいのは、事実だけど、大規模な火砕流に大丈夫かどうか、わならない。宇宙ごきってのは、なんか、やはり、信用できないよ。どこか、抜けてると言うか………。それに、なあ、きみ。きがきじゃないだろ。』


 ぼくは、みためくまさん、を見ながら言いました。


 『下に降りても、パトカーないにゃんこなら、意味ないにゃん。』


 『いやあ、意味はないけど、いやあ、困ったなあ。もう、わかんないけど、なんだか、そんな気がするだけなんだけど。』


 すると、みためくまさんが、言ったのです。


 『降りようよ。実は、駐車したあたりに、秘密トンネルがあるはずくま。街にも、洞窟シェルターがあるから、みんな、そこに、逃げるくま。』


 『秘密トンネル?』


 『むかし、先祖が、宇宙ごきに対抗するために、シェルター兼ねて作ったくま。まだ、あるはずくまま。』





・・・・・・・・・・・・・・


 ごきらららんは、空になった本部の内部に侵入したのです。


 そこは、まあ、なんといっても、ごきであります。


 侵入は、プロ中のプロです。


 サイズも、宇宙ごにより、はるかに、小さいです。


 宇宙ごには、なにを作っても、割合、おおざっぱで、侵入できる隙間は、たくさんあったのです。


 さらに、彼女は、高性能爆弾検知器を持っていました。


 宇宙ごきなら、確かに、扉ががっちり閉まっていて、自由に出入りはできそうにない、一番深い地下に、その爆弾が設置されていたのです。



  ・・・・・・・・・・・・・・・・

 


宇宙ごにのボスたちは、安全地帯といわれる場所まで上がりました。


 『よし。秒読み、開始せよごきな。』


 『許したまえ。我らの守護神よ。』


 副官は、スイッチをいれたのです。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


              『火の島』下の下の下につづく・・・・・・・

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『火の島』 下の下の中 やましん(テンパー) @yamashin-2

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