第68話 ②癒しの天使様は家の電気が切れてお困りです
お風呂上がりの天谷さんは色っぽかった。
艶っぽく湿った黒髪。
少し赤くなった頬。
そして何より・・・・・・。
「えっと、紫穂さん?なんでそんな格好をしてるんですかね?」
「何かおかしいですか?」
「おかしいというか・・・・・・目のやり場に困るというか・・・・・・」
お風呂から上がった天谷さんはバスタオル一枚を体に巻いただけの状態だった。
非常に目のやり場に困る・・・・・・。
俺は天谷さんから目を逸らしてできるだけ見ないようにした。
「早く服を着てくれませんかね?」
「せっかくのサービスなんですから、もう少し喜んでくれてもいいでしょうに」
「もう、十分です・・・・・・」
「一瞬しか見てないじゃないですか」
俺の視線をよく見てらっしゃる。
てか、見れるわけないだろ!?
「ほんとに、もういいから。湯冷めするといけないから服を着てくれ」
「仕方ないですね〜。これ以上は、今度一緒にお風呂に入った時のお楽しみにしておいてくださいね」
楽しそうにそう言った天谷さんはリビングから出て行った。
それって、さっき以上のサービスをしてくれるってことなのか。
つまり、それは・・・・・・。
そこまで考えると、心臓が大きく跳ねた。
しばらく放心状態でいると、温かそうなパーカーをきた天谷さんがリビングに戻ってきた。
「お待たせしました」と言いながら俺の隣に座った。
天谷さんの髪の毛や体からいい匂いが漂ってきて、俺の心臓はまた跳ねた。
「まったく、あんなサプライズは心臓に悪いからやめてくれ」
「ふふ、ドキドキしましたか?」
「そりゃあ、男だったら誰でもするだろ」
「電気を直してもらったお礼のつもりだったんですよ」
「次からは別のことでお願いします」
「文秋君の照れてる顔、可愛かったので、迷うところですね〜」
そう言って天谷さんは唇に人差し指を当てると、悩むふりをしていた。しかし、その口元はニヤッと笑っている。
「本当に考えてくれてる?」
「バレましたか。実は、さっきの文秋君の顔を思い出してました」
「やめてくれ・・・・・・」
「本当に可愛かったですよ」
「俺からしたら恥ずかしいだけだよ」
俺は天谷さんの顔を見れなかった。
きっと、俺の顔は真っ赤になってるだろう。
お風呂場の電気を変えに来ただけなのに、なんだか天谷さんにずっと翻弄されっぱなしだった。
この調子だと、「泊まっていってください」とか言い出しそう。
明日は学校休みだし・・・・・・。
「文秋君・・・・・・」
「ん、何?」
「せっかくですので泊まって行きませんか?」
やっぱりー!
言うと思ってました。
「そう言うと思ってたよ」
「え、そうなんですか?」
「うん。紫穂さんの考えが分かるようななってきたかも」
「仲良くなった証拠ですね」
そう言って天谷さんは嬉しいそうに微笑んだ。
ということで、俺は人生初のお泊まりをすることになったのであった。
行きつけのカフェの看板娘の天使様はお困りです 夜空 星龍 @kugaryuu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます