第67話 ①癒しの天使様は家の電気が切れてお困りです

 その日は久しぶりに天谷さんの家に行くことになった。


「急にすみません」

「大丈夫だよ。電気が切れたんだって?」

「はい。お風呂場の電気が切れてしまって」

「替えは買ってあるの?」

「はい。それは買ってあります」

「なら、後は交換するだけだね」

「よろしくお願いします」

「了解」


 天谷さんの家に到着した。

 早速、お風呂場に言って電気交換を行うことに。

 なにも考えずに電気交換をしていたが、よく考えたら、このお風呂に・・・・・・。


「て、何考えてんだ・・・・・・」


 俺はその雑念を消すように首を振った。

 ちょうど、キッチンでココアを淹れてくれていた天谷さんがやってきて「何してるんですか?」と首を傾げて俺のことを見ていた。


「い、いや、なんでもないよ。それより、交換終わったよ」

「本当ですか。ありがとうございます。こっちもココアの準備ができたので呼びに来ました」

「そっか。ありがと」


 俺はリビングに移動すると天谷さんの淹れてくれたココアを飲んで一息ついた。

 

「本当に助かりました。これで安心してお風呂に入れます」

「それはよかったね」

「昨日はビクビクして入りました」

「それは、また・・・・・・」

「文秋君を呼ぼうかと思ったんですけど、さすがに迷惑かと思いまして」

「別に呼んでくれてもよかったのに」

「え?」

「い、いや、別に他意はないからね。一緒に入りたいとか思ってないからね」

「思ってないのですか?」


 え、なんでそんな残念そうな顔してるんですかね?

 その顔はどういう意味なんですかね?


「私はいつかは一緒に入りたいですよ?」

「え、そ、そりゃあいつかは俺もとは、思ってるけど・・・・・・」

「なんなら、今から一緒にはいりますか?」


 すっごい魅力的な提案に俺は頭を殴られた。

 一緒に入りたい気持ちはあるけど、心の準備が・・・・・・。


「また今度にしてください」

「ふふ、すみません。少し調子に乗りました。そうですね。また今度の楽しみに取っておきます」

「そうしてください」

「じゃあ、一人でお風呂を入ってきてもいいですか?」

「う、うん」

「では、行ってきますね」

 

 天谷さんはそう言うとリビングを後にして、お風呂場へと向かって行った。

 その間手持ち無沙汰になった俺は本を呼んで天谷さんがお風呂から上がってくるのを待つことにした。

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