詩 機械人形の逃亡者

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 ガラクタの山の中 いつからか倒れていた機械人形ワタシ

 だけど 手を差し伸べてくれた主人マスターがいて

 貴方の為に生きましょう 機械人形ワタシはそう決める


 生まれてきた意味を忘れ 生みだされた理由は知らない

 虚無を抱いたまま過ごすには この世界は広すぎて

 心などというものは存在しないのに なぜか 一人でいる事が寂しくて


 孤独を埋めるように主人マスターは様々なことを教えてくれた


 けれどある時 研究者達がやってくる

 機械人形ワタシ主人マスターと共に 逃げ続ける

 彼らが追いかけてくる理由も分からぬまま


 何千里離れた遠くへ 果てへ 逃れつづけて

 けれど 途絶えることない追手の足に……


 私は別れを告げる


 ――大好きだから そうするの

 ――幸せになって欲しいから そうするの 


「さよなら 主人マスター


 最後に言えて 良かった





 せまる足音 忍び寄る影 追い詰められて……


「一緒にいるよ」


 主人マスターは言った どうして?


 たとえこの先地獄が待っていようとも……

 長く辛い時間を過ごすことになっても……


 どこまでも いつまでも


「一緒にいるよ」


 どうして? 分からない

 初めてできた友達しゅじん あなたの傍から離れたくないの



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詩 機械人形の逃亡者 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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