帰還者、ミズホ

1-1 (校)霜月、快晴、-30℃

 佐渡・Angoulême・冬霞さわたり・ アングレーム ・とうかは、新人監督官となった。空が氷河よりも青い日に、真新しいコートに袖を通し、古巣を後にした。何故か猛烈な不機嫌で。

 無理もないことで。資源庁での日々は、彼女にしてみればじんわりと真綿で存在意義を締め殺される体験だったようだ。ひたすら量子緋色ヒヒイロカネ──質量以上のエネルギーを生む超資源──を仕分け、運び、汚染され、また除染。放射線によく似た汚れ方をするけれど、冬霞かのじょはその耐性が並外れていた。常人が1分触れたら死ぬ汚染源を指輪にして、寿命で死ぬまで付けていられるほどに。

 サホロ市500万人でオンリーワンの体質、とは彼女の姉のげん。誰もが喉から手が出るほど欲しい特性に違いなく、事実その暮らしは豊かだった。つぎ込むべき道楽の不在──あらゆる道楽を生来のせっかちさで食い尽くし、きっと次の趣味もそうなる──と、自走式の汚い爆弾ダーティボムと化さないためのを除けば。

「汚染で死なない体質が要るだけで、別に私でなくたって。機械に任せればいいでしょう」

 冬霞がそう言ってみれば、相手はこう。

「機械もすぐ壊れちまう」

 反論の余地もないが、救われるわけでもない。冬霞は胸中でひとり毒づく。

(生きてるだけで素晴らしい。そうですね、ゴキブリ以上の生命力が売りですよ、っと)

 何でも並み以上こなせてしまうのがまずかった。器用さも、冷静さも、よく回る舌も、フォークリフトとして働くには宝の持ち腐れ。

 今度は有力な権力者である姉に愚痴ってみても、何やらキラキラと前向きな答えが返ってくるばかり。

「だから施政官試験をちゃんと受ければよかったのに。絶対貴女の方が向いているのにわざと手を抜くから……」

「あ、もういいです。御姉様様、施政官様、流石です。私の役には立ちませんが」

 別に政治力で解決して欲しかった訳ではない。ましてまつりごとの道、母の後追いなど。そうしたら、かえって機嫌を悪くしたことだろう。

(同じ腹から生まれたなら、私も前向きなら良かったのに)

 実際必要なものは、親愛や理解だったのでしょうが。

「姉さん。また職場に新型機材を送りつけましたね。乳離れはとっくに済んでるのがわかりませんか?」

 この性格にして。

「資源庁、あなたを放す気なかったわよ。まともにやってたら100年掛かるわ」

 このかぞくである。

「クソ政治屋が……」

「世はおしなべてクソよ。冬霞ちゃんは潔癖すぎるわ」

 単純労働に放り込まれたわがままな実力主義者の自爆……もとい悲劇。異動願いをちくちく刺し続けるのが残念な最適解になってしまう。

 突然に異動願いが受理された切っ掛けは、北加伊道ほんしゅう最南端の橋頭堡への補給隊が消息を絶ったこと。

 独力かつ徒歩で帰還した女阿左美・München・瑞穂あざみ・ミュンヘン・みずほによって、天災ではないことが明らかになった。単なる獣であるはずの化物イルが組織的に前哨基地を襲撃し、壊滅させたという。生存者は自分一人、とも。

 化物狩りを任ずる遺構管理局は衝撃を受け、"もしも"をうっかり口に出した。帰還を果たしたのは、本当に”阿左美・München・瑞穂”その人?仮に極めて高い知性を持った化物イルが存在するなら、肉体が乗っ取られていないと保証できるだろうか?

 ……突飛ながら0ではない可能性は、眉唾なりに都市に緊張を生んだ。

 阿左美が誰にも庇われないのも、無理からぬ話であって。全損した左腕を黒盾シュヴァルツシルトなる化物イルで補填し、異能の行使者たる形代プロスティシスとして帰還。そうしてしまった以上は、身体そのものが戦術兵器。更に悪かったのは、生きたままのエルと互いの欠落を埋め合わせて意気投合。

 イルは基本的に野の獣ケダモノである故に、人語を話すだけでもレアケース。おまけに互いの肉を侵食することなく調和、本能的にヒトを襲うとされている生物の、まずあり得ない事象。バケモノの二人一役だったほうが、まだ説得力がある。

「どれほどの奇跡かわかりますか?仮に化物側の腹話術としても!天文学的確率です。絶対に保護すべきです」

 生体イル研所長。兼ねて施政官の佐渡・bury・雪華さわたり・ベリー・せっかは、だったらなんだと狂喜的にまくし立てる。

群長ドミナント級だったら対抗できる形代はいるか?仮に研究価値が尽きたらどうする。ヒトならヒトで、他の形代と同じ扱いとはいかんだろう」

 危険視して暗に拒絶する小野おの議長。

「うちの家内ならどうだね?冬霞くんなんかもどうだい、体質的にも。いざとなればうちで対処する他ないのだし」

 あげく掌を返して、「戦力に埋め込まれている方が安全だ」と言わんばかりに戦力として求める資源庁/遺構管理局の帯刀・Оха・謙治おびなた・オハ・じょうじ

「ウチは別にどっちでも良いですよ。最悪でも大砲で殺せるでしょう?」

 防壁部長の廻・Rolling・環めぐり・ローリング・たまきは、堂々と市内を砲撃する旨の放言を生成する。

「だからそうならないようにうちの研究所でですね……」

 雪華の声はもう届く気配がない。ふと気が付けば"どこが取って何に使う?"の大論争にすり替わっている有様。

「だめだこりゃあ……」

 小野議長がぼそりとつぶやいて頭を抱える。

「うちの勝ち筋は薄いですねこりゃ」

 雪華もやはり眉間にシワを寄せる。

「冬霞を資源庁に任せたのが運の尽き、か……」

「どう思うね、雪華くんは」

「だから……はぁ。資源庁ですよ。任せましょう」

 そんなこんなでなし崩し的に議会は折れ──帯刀譲治はガッツポーズし──危険性への保険として、究極の化物耐性を持つ佐渡・Angoulême・冬霞さわたり・アングレーム・とうかその人に白羽の矢を立てた。

 結局降って湧いて取って付けられてしまった冬霞は、ろくでもない成り行きの残り香を鋭敏に嗅ぎ取って、それはそれは恐ろしい形相で資源庁を発った。


 ◇◇◇◇◇◇


 半人半魔の彼女に何かあったら、古巣に逆戻り……私は緊張を自覚しつつ、その日を迎えた。

 極寒の荒野を斧と盾だけで横断した、2つ歳上の彼女は如何な人物か。プロファイルを最後にもう一度眺める。人目を引く青い瞳。不自然な空白のある経歴。初めから戦うことを志向して生きてきたような、遺構管理局での滑らかに成功へ向かうキャリア。

 ……怖い人である。恐らく。

 しかし雑に引き抜かれたとはいえ、一応は転機をもたらした恩人でもあるので、とりあえずは感謝の気持ちが最初にある。胸いっぱいに消毒済みの病院の空気を吸い込んでから、扉を2回ノックして扉を開いた。

 生体イル研附属病院の広い病室にぽつんと置かれたベッドに、彼女はいた。

「はじめまして。資源庁より監督官として……わ……」

 女が振り向く……柔らかく下がった目尻と対照的な、凍てつく氷河蒼グラスブルーの視線。西洋ユーロの血筋を感じさせる高い鼻梁に深い眼窩、陽光に艶やぐ黒髪。

 羽のように長いまつげを羽ばたかせて、厚い唇をふわり柔らかくたわませる。

 ……絶句し、棒立ちしている自分に気が付いてぞっとした。言葉を継げなくなるほど整った顔立ち、なんてものが実在するなんて。

「……こほん、貴女の監督官に任命された、佐渡・Angoulême・冬霞さわたり・アングレーム・とうかです」

 彼女は左手を、ばっと持ち上げる。

「おっすおっす」

 軽薄な男性の、声?と言うには、奇妙な振動を伴って……それは彼女の左手から展開された大きな盾、そう人外の怪物から。やはり一拍置いて、私は存在意義を思い出す。

「規定違反!!」

 こいつ、喋るの……対面3秒で発生した監督業務に、反射的に懐に手を突っ込んで拳銃を掴む。幸い、続く光景のあまりのしょうもなさ故に、銃は取り出さず済む。

「まっ、ちょっ、で!!引っ込めバカ!!」

「あででで力づくでやるんじゃねぇ!!手順を踏め手順を!!」

 ぎゃーぎゃー、がぁがぁ。わめきながら折りたたまれていく大盾は、シーツを巻き込んで引き裂いていく。

「格納手順を……確立していない……?」

「あががががが」

 複雑骨折のような音とともに、それは折りたたまれて”ヒトの手”の形に収まる。それで……それで機能するんですか?今巻き込んだシーツは……いえ、まぁいいんですが……。

「お、おーけーおーけー。阿左美・München・瑞穂あざみ・ミュンヘン・みずほ。遺構管理局外征隊、極限遠征函館班所属。よろしく……は、はは」

 メッキが崩れ落ちるのはまぁ仕方が無いでしょう。でもまさか最初から、錆びた地金だなんていうのは……。

 私の運転でまずは彼女の家に向かいます。新たな住処は……まったく安住の地ではありませんでした。

 まず直面した真っ当な忙しさ。形代プロスティシス──汚染変異者の戦闘資格──の登録、力場抑制と異形態ストレンジの展開/格納手順の確立リハビリ──なぜこの状態で使い物になっていたのか──。彼女の自室の掃除。

「よくここまでガラクタを貯めこめますね……」

「街の周りが担当だった頃にね……貰っていいって言うから……」

 なんか良い感じの金物やら、読む気の失せるほど厚い機械技術の本やら。全く不要だと思う事は、ないですけれど。

「結局使わないんですよね?捨てますよ」

「はい……」

 転がっている金属の球を拾い上げると、ぐにゃりとした手応えが返ってくる。手の熱と力を受けて、それは棒状に姿を変え……?

「す、ストレンジマター!?」

「しまっ……」

「……届け出ますからね」

 それからボロボロの装備の重整備オーバーホールに顔を出したついでに返納したはいいものの、阿左美さんはこっぴどく叱られたようだった。

 そして更に掃除。このあたりでやっとしっかりした自炊が可能になった気がします。どうにか取り戻した食生活も乱れ気味、しかし味は悪くないです。

「佐渡さん何食べてるの?」

「レーションです」

「駄目だよちゃんと食べなきゃ……!!」

 こっちのセリフですが。

 それで出てくるのが体を壊しそうな味なのは何かのコントか……いえ、おいしいですよ、とても。どう見てもジャンクの部類でも。

 そのくせ当人は信じられなくらい健康。一度身の危険を感じてめたけど、”肉食獣が考えた菜食”みたいな料理が出てきたので諦めた。とはいえ事実ちゃんとした……ちゃんとした?食事を食べ始めてから調子がいい。早く自分でまともな料理を作れるようにしよう……。

 その割に、そもそもその食器も発掘するところからだった。どうやって生きてたんだこの人。

 それから私の車の作戦仕様化(どうして私物を使うんですか?)、更に掃除などをこなした頃には、半月が融雪機に投げ込んだみたいに消えていた。

 どうにか生活を確保して、ここがスタート地点だなんて。よく逃げ出さなかったと思う。私の家族がまともな理解者だったら逃げていただろう。

 そして迎えた、遺構管理局への復帰の日。

「ごめん、お待たせ……!!」

「コートの下パジャマじゃないですよね!?大丈夫ですよね!?あとボタン、ズレてますよ!!」

 コートのボタンを掛け違えた女が、凍ったままのパンをくわえ、リビングの電気を消し忘れたまま玄関に飛び込んできた。

 それは、猛烈に怠惰で、おおざっぱで、そして部屋が……いや、片付けました、綺麗さっぱり。おかげで初日よりも新生活感があります。ここからはじまるのです、やっと。だというのに初日から寝坊。3回りは大きい相手を叩き起こす身にもなって頂きたいものです。

 良い所もあります。とにもかくにも美しい相貌。頑強な体でありながら、豊かなプロポーション。体格の割に甘く愛くるしい声。

 誰もが振り向くような見目の良さで、差し引き合計-20点くらい。人はパンだけでは生きていけませんが、綺麗な花だけでも生きていけません。この人のは見目で補填できる量を遥かに超えている故。

 本当に面倒なのが、私の立ち位置は後輩でありつつ、そのくせ監督官だということで。不審なことをしないか見張るなんて……この人が不審じゃない時があるなら教えてほしい。それもそうだし、力づくで"後始末"をしなきゃいけなくなった時に勝てる気もしない。

「車も乗れず!!どうやって!!生きてきたんですか、本当に!!」

 復帰初日。こんな節目にまで寝坊するなんて。

「……カギ閉めましたっけ!?」

「閉めたよお!!……カギ挿しっぱだ!?」

「このバカ!!」

 私達は……じゃなくて私だけ階段を転げるように駆け下りて、駐車場を一息で飛び抜けて芋ったいマイカーへ転がり込み……鍵がない!!地団駄を踏みながら変わり果てたマイカーを眺めます。重防弾、防爆、耐寒に車高の嵩上げ。わぁ、氷河みたいに厚くなったフロントガラスまで熱線が入ってますよ。なんということをしてくれたのでしょう。

「おまたせ!!」

 阿左美さんは勢いよく鍵を突っ込もうとして見事に外します。傷1号、こんにちは。R.I.P、新塗装。ともあれ転がり込みます。

「君だって車が仕上がるまで無しで過ごしででででで」

「すみませんキーの位置が変わってたので間違えました」

 そうだけどそうじゃない。阿左美さんの二の腕から手を離して、今度こそキーをひねる。

「じゃあ、出しますよ」

「ちゃんと走るかな……」

 何を隠そう、阿左美さんに改装の取りまとめを任せたのだけれど……一言目にそれは勘弁して頂きたい。

「走らなきゃ押すんですよ」

 アクセルを踏み込むと、でっぷり肥えた3tの車体がよろよろと走り出す。電波を掴んでラジオが流れ出す。

《今日の最高気温は-21℃、夜間は-40℃程まで下がると予想され……》

「急ぎますよ」

 時刻は始業20分前。まともに走ったら間に合わない。装甲アーマーで恐ろしく重くなった鼻先フロントをぐるりと回して、細い路地裏に飛び込む。まるでドンガメ。

「ちょ、ちょっと」

「ちょっと?ちょっと遅れてる事ですか。誰のせいでしたっけ」

「それについては本当申し訳ないけど、こんな狭い道走ることぐえっ」

 一時停止で踏んだブレーキが思わぬ制動力を発揮し、阿左美さんの体にベルトがめり込む。私はハンドルに突っ張って事なきを得る。

「ブレーキだけはちゃんと効きますね。パワーは盛り忘れたみたいですけど。間に合わせるの、どうしたらいいと思います?空でも飛びますか?阿左美さん」

 鼻先をゆっくりと突き出して本線に舞い戻る。

「ターボは入れてるから、これ以上は心臓移植エンジンスワップしないと」

 機械屋エンジニアとしての答えじゃなくて。

「今できるやつで」

西方支部ニシブの脇に川があってさ」

「ベルトしてます?」

「当然。この左にあるのがその川なんだけどごっががががげげごごご何してんの!!??」

「え……言われた通り川伝いに……」

「冗談なんだけど!?」

「……は!?やればできるじゃないですかその話」

「普通そんなのやらなんぐぇあ」

 踏んづけられたネズミみたいな悲鳴を無視して、どっしんと車体を水面に叩きつける。20年凍ったままの川は超重量級の車体をやすやすと受け止めた。

「もど、戻」

「嫌ですよすごい見られてるじゃないですか」

 車列から、民家からバックミラーから突き刺さる視線を振り切るように、思い切りアクセルを踏み込むと、氷を蹴って車体がぐっと進む。20、シフトアップ、40、60、70。瞬く間に……とは程遠い加速で景色が流れていく。

「はぁ……こりゃいいや。向いてるよ、遺構管理局ウチ

「はいはい……」

 触れる程度フェザータッチから、徐々にブレーキを踏み込んでいく。効きはどこまでもリニアで、阿左美さんがいい仕事をしたのは間違い無い。問題があるとすれば、あくびが出るほどの安全設計だ。

「対策はしたけど、ブレーキの熱量も凄いから。エンブレ重ねたほうがいいかも……」

「承知」

 シフトダウン。馬鹿げた重量増にも関わらず、タイヤがたわむ感触がお尻から伝わってくる。サスも悪くはない。川のゆるやかなカーブにあわせてハンドルを回す。操舵角は浅くても重さのせいか、ハンドルがぴりぴりと振動する。……違う、この車重でこの程度。パワステは特製?なんだか段々と、肥え太りながらどうやって元の大きさに収めたのか気になってくる。亜空間?

 くねった領域を抜け、思い切りアクセルを踏み込む。装甲前なら軽く踏み込んだ程度の加速とともに、エンジンが断末魔めいた絶叫を上げる。西方支部は目と鼻の先、なのに速度はまるで出ない。ああ、時速100kmってこんなに速かったっけ。初めて乗った頃みたい。なんてやけっぱちの懐古に浸ってるうちにどんどん目的地に近づく。通り過ぎそうだ。

「よいしょ」

 堤に鼻先を叩きつけて跳ね上がる。台枠フレームの剛性は果てしなく強化されていて、衝撃が脳天に丸ごと突き刺さる。土手に叩きつけるように着地し、目的地を通り過ぎる勢いで走り寄る。直前でフルブレーキ&フルステア、後輪を大きく滑らせながら振り出して駐車場に鼻先を向け……られない。極太タイヤは設計通りに極大グリップを発揮し、爆発的なスキール音とともに急停止。10人に見せたら10人が"慌てすぎて曲がる場所を間違えた人"と答える動きが完成する。

「くそ……」

 もう一度車体を転がすにもまた爆音。しかも徐行。世界一スピード感のある徐行。しかし問題じゃない、始業5分前に窓の外を見てる人なんて何処にもいない。

 社屋を見る。いる。いっぱいいる、全員じゃないかってくらいいる。

 そりゃ、そうですよね。街中を騒がせた時の人の復帰ですし。さっきから静かだと思えば、当の本人といえば助手席で青白い顔をしている。

「ゲボ袋ある……」

「そんなの外で……ああ、もう、ゲボとか言わない……」

 駐車場に停めてから言われても。状況を鑑みて、不本意ながらエチケット袋を差し出す。それからコトが始まる前に窓を開け、開かない!?

「防弾窓……開かな……グベッ……」

 文字通り酸鼻極まる一日の幕開けに、背筋を冷たいものが駆け上がる。武者震いだろうか。だったらよかったのに……。

「帰りたい……」

 新たな日常はしかし、惨劇に近い。あるいは俯瞰すれば喜劇か。私の死は日常離れした硝煙と血の底ではなく、啜り泣きと共にもたらされるのかもしれない……。

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