第2話 廃屋のかくれんぼ
5歳の夏。
家の近所。
原っぱの奥に廃屋があった。
僕は友達とかくれんぼをしていた。
「あそこの家でかくれんぼしようよ!」
「わかった!僕が鬼やるよ。10数えるね。」
僕は隠れるために廃屋に足を踏み入れた。
「1・・・2・・・3・・・」
廃屋は崩れかけていた。
所々、外壁が崩れている。
二階の部屋が外から丸見えだった。
僕は二階の押し入れのある部屋に隠れることにした。
想定外のことが起こると体は固まる。
僕の体は凍りついた。
押し入れの中に三つの人影があったのだ。
「・・・。」
頭の中に情報が流れ込む。
幸せな家族の日常。
そして、火の海。
叫び。
「見っけ!」
友達の声で現実に戻される。
「見つかっちゃった。やっぱり、ここ危ないね。あっちで遊ぼっか。」
「うん、いいよ。行こっか。」
家に帰り、母に尋ねる。
「あそこの原っぱの奥の家って火事あった?」
「う~ん、どうだかねぇ。昔からずっとあるけどねぇ。」
僕が感じたのは、忘れられたくないという感情。
この後、何度か廃屋に行ったが、影が見えることはなかった。
非凡な日々 放送室 @mahha
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