幼なじみとロウ爺!? 転移。
目を開けると、周りがサラ地になっていた。周りを見渡すと木々も無く、地面も爆発でもあったのかというほどにヘコんだ地面が沢山あった。そして目につくのは傷だらけになった女神。
女神は俺を睨みながら、辺りを警戒していることだ。もう綺麗だったと思える影も無い。丸眼鏡も片方のレンズは割れている。
俺は何もしていないのに目を開ければ、女神がボロボロになった状態で、俺は瀕死だったはずなのに貫かれた腹も治っている。
「アイツは何処だ!」
女神がアイツと言う奴が分からずに、ハテナマークを浮かべる。
「お前の横にいた奴だ!」
横にいた奴? 誰だ?
俺が状況を整理している間に女神が警戒を解いた。
「心臓を握りつぶしたから死んだのでしょう」
女神はハハッと不敵に笑う。
「で、貴方はまだ私と戦うのですか? さっきの人族みたいに女神と張り合う程の力も持っていないのに」
女神が戦った奴は女神と張り合う力のあった奴、そんな奴はアイツしか思いつかない。
俺が寝ている時に背中を押してくれた人物。
「ロウ爺」
これはロウ爺がやったのか? 嘘だろ。俺の身体が治っているのもロウ爺のお陰か? 今までにない底知れない力が湧いてくるのもロウ爺のお陰?
ロウ爺、お前いったい何者なんだ。
そんなことは今はどうでもいい。人生のやり直しをしても、女神と戦わないといけない。最後のチャンス。
「水仙魔法の神秘を体現するのは、いつだって理不尽に抗おうとする諦めない想いだろ」
白いオーラが、青いオーラがキラキラに光り輝く。目の前に原初の剣が現れる。それを引き抜くと女神の目の色が変わる。
「さっきのジジイが力をやったのか!」
女神の反応からすると、女神をここまでボロボロにしたのはロウ爺で決まりだな。
「力をやったとかやってないとか、どうでもいい。お前はここで死ぬんだからな」
この場所から消えるような感覚を覚えて、水平に剣を振る。
「転移」
それだけで、女神の首が飛ぶ。
「ロウ爺にボコボコにされた女神なんか俺の相手じゃない」
「人族が調子に乗るな!」
女神は首を切っても喋るのか。
「魔神は領域を取られたら存在が出来なくなったんだよな?」
「待て、何を言ってる」
「不思議なんだよな、だって女神は死を恐れてない。じゃあ女神はどうやって死を迎えるんだろうな」
女神の身体を俺のオーラで包むと、ピクリとも動かなくった。
「おい女神、この首だけの状態で俺のオーラに包まれたら、どうなるんだ?」
オーラがあるところは俺の領域ということなんだろうか。そうしたらオーラが女神を倒すのにいるということになる。
あと自分で存在を塗り変えればいいから、女神を食って俺という存在で女神の存在を塗り変えるとか? まぁ、有り得る話だ。
それを証明もしたくないけど。
ぽたぽたとオーラを女神の目の前に落としていく。上から目線で告げる。
「ロウ爺は女神の結界の中でも、転移が使えたんだ。それは女神と同等の領域を展開していたことになる。そのロウ爺の力を貰った俺も、その力があると言うこと、分かるか女神」
「私が死んでも、最高神が来るぞ」
下から睨んでる女神に、ニヤリと笑みが出る。女神の最高神。ただの女神だけでこんなに強いんだ、最高神とから異次元に強いと思う。
「そう、そこなんだよ。最高神はこの女神よりも強いことは明白で、俺は絶対に勝てない。俺が最初に言ったよな、俺の命に代えてもアイラは魔神族側にはしない。そしてお前の命をつけてやるって言ったら」
「この状況じゃ、私に選択肢はないじゃ……」
女神が俺とアイラが望む選択肢を自分から言いかけている。その時にズドンと目の前に土煙が舞った。
土煙が晴れると最高神の母女神がいた。
「ランクアップの時にお会いした騎士様じゃないですか。娘が大変失礼しました。私の娘は死ぬことを選択しました」
神々しいオーラで纏ったヒールで、母女神は女神の頭を踏み潰していた。生かす意味がないように丁寧オーラを帯されて殺していた。
「母親だろ」
「え? はい、母親です。貴方が選択肢を与えていたのに、何故私を非難できるのでしょう」
さっぱりわからないとでも言うように首を傾けて、俺には全然悪意がないように思えた。だから最高神か……さっきまで話していた女神の方が人らしい。けどこの女神は優しく悪意も無く、酷く寒々しい言葉を出した。
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