幼なじみとのキス!? は、はい。
オークと同じぐらい体格で三股裂けた四つ首を持った蛇はヘルスネーク。そしてオークと同じぐらいの体格で腕が左右でどちらも三本づつあるのがキャンサー。
ヘルスネークは分かるんだが、キャンサーはよく分からない。ただキャンサーは六つある手に自分の身長ぐらいの長剣を持っている。
そしてバトルフィールドの中央に地中から地上に氷? に入っているエリアーナが姿を現した。長い金髪で氷の中で眠っているのか優しい顔をしている。端正な顔立ちに胸もデカい、圧倒的なスタイルに赤のドレスがマッチして、ドレスが少しめくれて綺麗な脚線美が顔を出していた。
俺はオーラを纏って走る。首から剣を取り、エリアーナの氷に剣を振った。パキパキと、亀裂にオーラが入り、オーラがエリアーナの所へ行くと全身を覆い尽くす。
その瞬間にオーラが広がって、氷を崩した。
首に剣を掛けて、エリアーナを助けると両手で抱えてお姫様抱っこをやる。すぐにルーシーに送ろうと思ったが、魔族領も結界が張ってあるのか、発動しなかった。じゃあと、闘技場の外に移動しようと思ったが、それも発動しなかった。
このバトルフィールドに結界が張ってあるのか? めんどくさい。
限定商品じゃなかったのかよ。バトルフィールドにエリアーナが現れるとか聞いてないんだが。
じゃあ俺と最後には殺し合わないといけないのか? 殺し合うというか、寝ているし一方的に殺すしかないんだが。
檻を壊して出ていくといった手段で逃げたところで、トラップスキルが発動して死を与えられて、ルーシーに転移出来なかったらエリアーナは死ぬ。
運営と話がしたいな。
俺を中心にオーラが広がっていくと、オーク、キャンサー、ヘルスネークはオーラに押されて壁に迫っていき、潰された。強固な結界が張ってあるのか、俺とオーラと結界がバチバチと鳴り、壊せなかった。
オーラが俺の身体に戻る。
「おい運営! エリアーナにはスキルがかかっているのか?」
「そうですね、貴方様が思っている通りですよ」
どっかから気持ち悪い声が聞こえて、魔族たちの血が俺の目の前で人型になっていく。
「ガラン」
「その通り。いやはや、名前を売っていた甲斐がありましたね」
「限定商品とお前言っていたな」
「エリアーナ様に会えたんだからいいんじゃないんですか? それ以外に何がいるというのですか。会えなかった幼なじみとの感動の再会、涙が出ます」
涙が全然出る様子がないガランはニヤニヤと笑みを見せつけてくる。
「エリアーナにかかっているスキルを解け」
「ほぅ、命令ですか」
「俺が幼なじみが絡んだことで、嘘をついたことがあるか?」
「そう、貴方様は加護持ちが入ると、凄く正直になります。人を躊躇なく殺せるほどに」
俺の目が本気ということがわかっただろう。エリアーナが死んだら、この闘技場に居る奴も、街に暮らしている奴も、殺す。
「ここで登場したということは、運営ということでいいんだよな」
ガランは、う〜、と考える素振りをする。
「運営ですか、ちょっと違いますね。このカジノの運営は魔神を救うための仲間です。私とは違う、別の手段で魔神を救おうとしている人達ですね。穏健派と言う奴です」
「じゃあ、女神の加護持ちを殺せなくても別の方法があるのか?」
「もちろんです。所詮ただのデカい結界ですよ。最後には劣化して砕け散ります。でもそれが待てない私みたいな、我慢ができない人が過激に加護持ちを殺そうとしちゃうんですよね」
コイツは過激派の自覚はあるのか。そうか、人族から加護持ちになるほどの優秀な人材は現れないと結界は脆くなる。それも一つの方法だ。
「待てよ。アレックスが勇者の剣を抜いたのが、穏健派の別の方法だとしたら。アレックスの近くにいた魔王? いや、違う。俺たちのことを知っている人物。そしてチャロがアレックスからエリアーナに会いに来たのを止められそうになったと言って……」
俺の首に冷たい物が当たる感触がある、そのすぐあとに俺の口に柔らかい感触と花の香りとエリアーナの綺麗な顔がすぐ近くに。
えっ、えっ、と混乱する俺のことをほったらかして、エリアーナは柔らかい唇を俺の唇からはずした。
「私のこと覚えているわよね」
「は、はい」
ドキドキして、はいの二文字も、よく言えなかった。
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