幼なじみは最強!? 敵に回したくない。
モテ期が来てウキウキな俺は、チャロに聞いてみることにした。
「豪運スキルのせいもあるが、なんでチャロは人族売り場で生きてられたんだ? スキル買取価格は子供でも買える値段だったんだぞ」
「知能を付けると何かしらのプライドも付くんだと思うわ。人族が豪華なドレスを着飾るように、魔族はスキルを着飾っている。そう言うことよ」
魔族は見掛けが統一された人族とは違い、スキルを重視しているのか。異性にプロポーズしたら、貴方は皿洗いのスキル持っているから論外と言われるのだろうか、こわ。俺が人族の国で魔族に殺られなかったのも皿洗いスキルをスキル欄に加えたくなかったから? そう思うとムカムカしてきたな。チャロを買ったソフィアが感謝されたと言うのも何となくわかった。
「店員から感謝されたと言うことは」
「そうよ、売れ残って売れ残って、その値段だったのよ。売れなかったらタダ飯食う人族だから。店員も自分で殺すことも渋ってたわ、皿洗いが効いたわね」
皿洗いって俺のスキルじゃねぇか。チャロは続けて口を開いた。
「私が人生で役に立たないと思ったスキルを体質的に鑑定系のスキルを使った相手に見せることが出来るの。戦闘中の効果は凄いのよ! でも魔族の世界でも役に立つことを証明できたわ」
「お前、そんなこと思ってたのか」
「え? あぁライヤも皿洗いスキル持ってたわよね。皿洗いスキルを持ってて皿を洗うこと以外に役に立つことがあるの?」
「ない、けど」
記憶を探るが皿洗いスキルが皿を洗うこと以外になにがあるって言うんだ! くっ、と奥歯を噛み、残念スキルだということを自覚する。幼なじみにまで死体蹴りをされる俺のスキルって。
俺はベットに立ち上がってソフィアの横にダイブする。ベットが軋み、俺はそのまま眠りに落ちた。
次の日、ルシャの街は離れる前にソフィアとチャロはギルドに行って来ると言って、俺は宿で待機していた。
宿で待っていた俺をソフィアが迎えに来て、馬車でルシャの街を後にした。そして……。
「お前だれ?」
俺は馬車の荷台に乗っている人物に振り向く、昨日の人族売り場から買ってきた人物とは信じられないと頭が拒否している。
「私の名前はチャロ。チャロ・ラックレイですわ」
屑んだ肌の汚れは取れ、爆発していた茶髪は綺麗に整えられている。服も布から変わり、白を貴重とした制服、白を貴重としたスカートは神聖な物へと変わっている。手に持っている白色の剣が美しく輝く。
ふわっとした茶髪のロングヘアに、白い肌、端正な顔、小さくない胸、スカートから覗く脚線美。スタイルが抜群だ。聖騎士団団長と言われれば、そうだろうと頷ける。本当に聖騎士団団長なんだけどな。
「チャロも相変わらず綺麗だな。檻に入れられてどのぐらい水を浴びてないんだ?」
「ライヤに褒められると私の幼なじみから刺されそう。ご飯は貰ってたけど、もう半年間は水を浴びてないわね。今日はさっぱりしたわ、ありがとうソフィア」
チャロからありがとうと言われたソフィアは無言だった。への字をして俺と目を合わせてくれない、ご機嫌ななめのようだ。今日は荷台に乗ろうとしたら、キッとソフィアに睨まれて自分の横の操縦席をパンパンと叩いていた。俺はパンパンと叩いていたソフィアの横の操縦席に座っている。
再度チャロを見る。
「チャロは半年前、カジノで何してたんだ?」
「エリアーナに会うために金を作っていたのよ。魔族の国がきな臭くてね、聖騎士団団長としては入りずらかったの」
「お前団長だろ、金ぐらい用意できたんじゃないのか?」
「出来たわよ、ただ人族の領域に戻ればね。私には豪運があるからカジノでは絶対に負けない自身があったし、戻るのは時間の無駄だと思ったのよ。少しだけ勝てればカジノを止めるつもりだったのよ」
チャロは半年前からエリアーナに会うために動いていたのか。実際は人族の領域に戻った方が時間は食わなかったが。
「アレックスに会ったぞ。魔族の四天王らしい、エリアーナのことを聞いとけば良かったな」
「アレックス。あぁ、私も半年前にあった。私にエリアーナは渡さねぇ、とか言って攻撃を仕掛けてきたわね。まぁ、速攻で片付けたけど」
アレックスを速攻で片付けたチャロは間違いなく幼なじみ最強だろう。敵に回したくない。
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