幼なじみとレベルアップ!? 可愛いだろ。
レリッコの街に入る時にはお面をしてくださいとお願いされた。レリッコの街へ入る時に白くて無地のお面を手渡されたが、目用の二つの穴はなく、鼻の出っ張りがあるだけ、人族の世界だと帽子と言われたら帽子でも通用しそうなお面だ。
「可愛い?」
「美少女なんだからなんでも可愛いだろ」
俺がお面を興味深く見つめていると、ソフィアが可愛いと聞いてきたから勿論だと言っておいた。無地のお面が桜色に色付いたは気の所為だろう。
俺もお面をはめる。お面に目用の穴が空いてないと不思議に思っていたが、レベルの低い透視スキルが付与されていた。視界は真っ暗なのに景色が見える。キョロキョロと見渡して、レリッコの街へ歩を進めた。
人族の街や国とは違って、レリッコの街は当然だが魔族しかいない。魔族が人族と違って見た目が統一されてない、さすがに同じ系統の魔族は一緒みたいだが、見た目が色々だった。目が一つだけの者や、目が沢山の者、肌が青、緑、赤、金、紫。
見世物みたいに見たら失礼だって思うが、魔族領に初めて入ったんだ、初見は見逃して欲しい。魔族も人族の領域に来ているんだろうか? 魔族は人族の領域では勇者と女神の結界で強さが半減以下になる。魔族が人族側で悪さをするのは一朝一夕では出来ない。まぁ、たまに魔族が悪さしていたと、同時に聖騎士団が解決したという言うアナウンスが国では流れていたが。聖騎士団がいなかったら悪さじゃ済まなかったの思う。
レリッコの街でもギルドがあった。魔族の街でもあるのかと、ギルドの前へ着くと、ロウ爺がギルドの扉から出てきて、ソフィアに頭を下げ、馬車を出し、俺には一切目も合わせずその場から消えた。
俺とソフィアは馬車に乗り込むと、ソフィアは馬車を走らせる。魔族の街は人族の街みたいな門はない、大人がジャンプして這い上がれるぐらいの柵があるぐらいだ。豚の衛兵が出入口を守っている。出入口で止まり、衛兵が俺たちの仮面を見ると、手を出口の先に振り下ろす。その繰り返しをし、行けとジェスチャーで伝えてきた。馬車を進めて、レリッコの街を出る。
レリッコの街から出た草原から薄暗い森の道へと、道が狭くなる。すると毛深い人族のような見た目の人が土下座をして、馬車に当たらないように左右二列で並んでいた。
「あれは人族?」
「違うよ、目を合わせない方がいい」
通りすぎると「ギャギャギャギャャャャャ」と大声が聞こえた。後ろへと振り向くと馬車から手を踏まれたのか大袈裟に手を庇って仰向けで寝転がっていた。
そして俺たち遠くへ行くと、また土下座に戻っていた。
「魔族でも知能が低い個体はいる、でも人族でもいるんだよ。人族の偉い人はこの事実を隠してる、人族は魔族に取って餌だった過去をね。魔族も人族も始まりは一緒、魔素から出現したんだ」
「人族が空気中の魔素から出てくるところなんて、見たことはないんだが? まぁ、魔族もないけど」
「魔素の濃度が人族の領域と魔族の領域とでは違う、それは何でか? 勇者と女神の結界のおかげで人族の領域には知識がない人族も魔族も生まれない」
人族は成人するまでに十のスキルをプレゼントされるという女神たちのルールが存在する。それはどうなのか?
「じゃあ女神は知能が低い人族にもスキルをプレゼントしてんの?」
「してない。餌になるだけの人族にスキルをプレゼントすると一気に魔族が強くなっちゃうでしょ、女神は人族と魔族のバランスを大事にしてるらしいしね。でも産まれた時に人族は絶対に少ないけどスキルを持ってる、レアなスキルはそうそう居ないけどね」
だから潜在的に魔族は人族を見下し、スキルを奪われたり、餌になったりするのか。だいぶ深いな、人族と魔族の溝は。
「さっきの人族に知識を与えたらどうなるかな? 一緒に暮らせば変わるんじゃないか?」
「それは僕たち人族が知っているだろ。服従するのは見た目だけ、それでレベルアップのクラスアップでもしたら目も当てれない。主人を殺して自分がトップだと主張するだろうね、言葉がわからなくても、わかるよ」
「そうだよな、頭の悪い人族はたぶん似たような事をすると思う。ソフィアはクラスアップのこと知っていたのか? 俺も最近気づいてさ」
「えっ? 授業で習ったよ? だいたいがレベルアップでクラスアップが行われるって、不思議な条件下でクラスアップするのもあるって。あっ、ライヤ寝てたから聞いてないんだ! 女神のクラスアップはそういう条件を無視してクラスアップさせてくれるの、だから勇者にだけの特別な方法なの」
ソフィアは驚きの声と共にクラスアップの説明をしてくれる。そうかそうかと、俺は口を噤んだ。
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