幼なじみとケンカ!? 憧れを持ってた。
俺の視線の先に勇者の剣を持ち上げて、掲げる人物がいた。その人物は勇者の剣を上から下に振ると透明な斬撃が出ているかのように、地面が割れ、建物が割れ、門まで割れた。ズガガガガンと割れた先で音が鳴っていた。
その現場を見て、俺はさっそく魔族領に行くために船へ行こうと思った。ソフィアを連れてこの場から退場する。でもソフィアは何故か動かない。
「ライヤ、ここで逃げたら死人がたくさん出るよ!」
「いや、こっから門まで一振で届く剣術の化け物を相手にしてたら、俺が死人になるわ! ソフィアは勝てるのか?」
「僕は無理!」
左手でソフトクリームを持って、えっへんと胸を張るソフィア。動かないソフィアを俺は抱きかかえて、お姫様抱っこをする。そして港へ走り出したとこで俺の目の前の地面が割れ、そこから建物が割れ、門が割れる。走り出そうとした俺は止まり、門が割れるところまで見て、空を仰ぐ。
そしてそれをやっただろう人物の方を向く。ソイツも俺を見ていた。
「やぁ、久しぶり」
「お前がなんで勇者の剣を!?」
「勇者の剣は単純で、剣術スキルは20レベルでクラスアップできる。それから剣聖術の20でクラスアップ。そして勇者スキルとなる。勇者の剣は勇者のレベルが10ないと言うことを聞いてくれないんだ」
黒いマントから漆黒の鎧が見える。学園時代に俺の髪の色が良いと青い髪から黒に染め直した人物。俺の幼なじみでもあり、厨二病のアレックス・ロデルライン。勇者スキルを持っているらしい。クラスアップというのは女神に頼まないでも出来る? レベルか上限まで行くと自動でレベルアップしたのか? それとも他に魔族が知っている方法があるのか? 俺の皿洗いスキル1000超えてたんだけど……。
【アレックス・ロデルライン】
スキル】 EX勇者 EX種族改変 EX等価交換 EX女神の加護
昔にアレックスは言っていた。俺、魔王になる! と。種族改変で人族の利点と魔族の利点を持って世界最強になると謳っていたな。アレックスの種族改変はとんでもないご都合主義で出来ている。でも魔族の利点を得る場合、人族を殺さないといけない。
「俺は魔王直々の四天王に位置するところにいる。ライヤが魔神の手下になったと聞いた時は信じられなかったぞ。加護持ちがライヤと殺し合うなんてそんな悪夢は俺が終わらせる。加護持ちの誰かにこの役目をあたえたくない。どうかわかってくれ。
そう言えばここは修学旅行で来たな、その時は勇者の剣を抜こうとしてライヤとアリエルが怒られたっけ。アリエルはライヤに巻き込まれただけだったけど。俺は学園時代が一番楽しかった、本当に。俺は誰よりも弱くて、誰よりも強くなろうとするライヤに憧れを持ってた。ライヤごめん。こんな別れ方になるとはな」
「アレックス聞い……」
「ソフィアを離せ!」
昔から人の話を聞けと言っていたが、まだなおっていなかったのか。いや、知っているんだろう。俺の話を聞いたら殺せなくなると。昔っから俺は口が達者だったからな。
なんで加護持ちのアレックスが勇者の剣を引き抜いたんだ? 魔神のことを知っている。俺が魔神の最高神ウンディーネと繋がっていることも知っている。なら勇者の剣が結界の一つ目だって知っているはずだ。いや、知らないのか?
ソフィアをお姫様だっこから降ろし、オーラを纏いし左手で、首の聖剣をちぎり、大きくなった鞘から剣を抜く。そして青のオーラを聖剣に通して、ソフィアの首に聖剣を置く。
「随分と優しくなったものだな。魔族の四天王が幼なじみを守るために俺と戦うなんてな。加護持ちが俺に勝てると本気で思ってんのか? しかもこの手の中にはお前の大切な幼なじみがいるんだぞ。魔族領に帰ればソフィアには手出ししないでやる」
「手出ししないでやる? 魔神の手下の言うことなんて聞くと思ってるのか? 最高神の魔神には加護持ちは勝てない、ライヤはそこまで分かってんのか、だが」
スっと目の前のアレックスが消えた。キョロキョロと見渡しても何処にもいない。気づいたのは首に勇者の剣が置かれた時だ。バッと首に置かれた剣に青と白のオーラが勢いよく溢れ出した。オーラが剣を止めていると思った数瞬。俺は弾き飛ばされ、建物の壁に綺麗に身体が埋まった。
全身からオーラが尋常じゃなく溢れている。これで助かったことだけはわかった。首を撫でてみると血が出ていたが、重症という訳じゃなく爪で引っ掻いた程度だと感じた。
「だがライヤを倒すために勇者の剣が必要だった。それでも最高神の魔神は伊達じゃねぇな、こんな攻撃じゃダメージが与えられないとは。久しぶりに本気を出さねぇとな」
俺が見えない移動術に加えて、まだ本気を出てないと。うんうん、死んだな。俺が。
【ライヤ】
スキル】 EX水仙魔法SS80 EX経験値増量
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