幼なじみと昔話!? 神の力ですよ。


 最悪な結果。これは俺がソフィアも連れていけばいいんだけど、最悪な結果だ。もしも俺が女子供を転移して、ルーシーに預けるとする。するとソフィアとルーシーを守れない時間が出来る。俺には善人か悪人かはどうでもいい、俺は勇者じゃない。


「さて、なんでわかったのですか?」


 ガランが俺に解答を要求するように、手を俺に向ける。俺はそれの解答を持っていなかったことに詰まって、少し考えたあとに口を開いた。


「わかったんじゃなく、可能性を潰した」

「可能性潰した?」


 ガランは俺の言葉に乗っかるように、食い気味に俺の言った言葉を繰り返した。


「俺はどうしても勇者のように自分に危険が起きたら対処をする、が出来ない。俺は強くなったが最近強くなったばかりでな。そういう甘えが出来る人生を歩んでなかったんだわ。だから村の人たちが善人でも悪人でも関係なく、俺の個人的な見解で、少しでも危険そうだなと思って殺したってだけ」

「危険そうだなと思って殺した? そうですか。いやいや、見事ですよ。でも残念なことに本当に村の人たち善人でしたよ。言ったでしょ、神を連れてくるって」


 ガランの後ろに黒のオーラが巨大な人型として現れた。神がこの世界に降りて来られるのか? 実際神とガランは言っている。

 その人型のオーラはガランに入り込むように小さくなっていく、黒く漆黒なオーラはガランに入って、ガランもオーラを纏う。何故か知らないが、黒かったオーラが赤くなっていた。


「この魔神は洗脳が得意でして、善人の村人を操って、そして女神に逆らう力を与えた。まぁそれは貴方様のお力によって見せることは出来なかったですが。でもルーシー・ラグレイシア様に子供たちを預けてくれてありがとうございました」

「いやいや、そんな感謝をされることはやってない。その子供たちは先にあの世へ行っているからな」


 もうお喋りは終わりなのか、ピキンッと空気が張り詰めたのがわかった。これが殺気というものか? 殺気というばカオルを怒らせたら、この千倍ぐらいの濃密な殺気が襲いかかってきて、相当に怖かったなと思い出した。


 俺のステータスは。


【ライヤ】


スキル】 EX水仙魔法S78 EX経験値増量 



 首に掛かっている聖剣を左手でちぎり取る。俺の左手に青白いオーラが身体から湧き出ると一瞬にして聖剣が大きくなり、剣を右手で引き抜くと、鞘は俺のオーラに姿を変えた。


 青と白の聖剣を構えると、ガランが先に仕掛けてきた。赤いオーラの拳を武器に、右に左にと拳を振るってくる。その打撃は硬い。俺の聖剣をガキンッ! と音を鳴らして押し返してくる。


 なんでコイツは人族なのに加護持ちを狙うんだ? 魔族もエイリーナが魔族領に行ったことでバランスが取れたんじゃなかったのか? コイツは魔神と言った。魔神は聞いたことがない。


わたくしと撃ち合うことが出来るとは、思いませんでした。どれ、冥土の土産に私たちのことを教えてあげます」

「頼んでないが?」

「いや、貴方様は聞きたがっている顔をしていました」


 ガキンッ! と弾き返し、距離が空くとガランは話し始めた。


「七人の女神と勇者のことは知っていますね」


 俺もそのぐらいは知っている。つい最近全員死ぬことがわかったぐらいだったが。


「その女神一人一人に死を与えたのが人の神。その名を魔神です。人族は魔族の領域を戦いの中で獲得したと言ってますけど、実際は神が人族に領域を奪われたのです。世界は魔族と神の二柱で成立していました。でも一つの間違いを神は起こしたのです。神の領域に人族が生まれて、神は人族に領域を与えて育てたのです」


 ほぅ、母さんも創作してたが、ここまで昔話と違うことはなかったな。


「私たちはその領域を神に返そうと思って活動しています。ですが加護持ちがいる限り、勇者と女神の結界のせいで領域を奪われた神は現世に現れることが出来ないのです。分かってくれましたか? 貴方様も一緒に神の領域を取り返しましょう」

「なんで俺が、神の手伝いをすると?」


 ガランは俺の言葉を聞いて、ニヒルに笑った。



「そうですね。はい、と言っておきましょうか。貴方様は人に興味がない。それはそのはずです。神に聞きました。


 もともと水仙魔法は神の力ですよ」


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