幼なじみとご飯!? 会いに行きたい。
裏切り者と出くわしたがその後も気にせずにソフィアと二人で骨を回収していた俺たち。建物がないからか風を強かった。馬車の荷台が骨でいっばいになる頃には日が傾いて、俺は全身の力が抜け、地面にへたりこんだ。腹がうめき声をあげるとやっと気づく、昨日から飯を食べてないと言うことに。身体も戦闘態勢が持続していたから忘れていた。
俺を見ていたソフィアが「飯屋で行こう」と言い出し、俺は最後の力を振り絞って地面から立ち上がると馬車の操縦席に座った。ソフィアも操縦席に乗り、ソフィアが馬に「行っていいよ」と言うと自主的に馬が動く出した。スキルでもあるのだろうか?
ギルドの前に馬車を持ってくると、ソフィアと俺は馬車から降りた。ギルドの扉が開くと執事服の老人がソフィア目掛けて歩いてくる。ソフィアの目の前に来ると老人は一礼して銀貨が五枚を取り出した。ソフィアはニコニコ顔で銀貨を受け取り、「ご飯行ってくるから」と言うと老人は軽く手を振る。その一瞬にして老人の手には小袋を持っていて、ソフィアに「お持ちください」と言って渡していた。この老人は異次元のアイテムボックス系のスキルがあるのか? 相当に凄いレアスキルだ。
ソフィアが老人のことは放っておいて歩き出したから、俺をソフィアについて行く。でも気になって後ろを見ると馬車と老人はもうそこには居なかった。
ギルドから近場にある料理屋に入った俺たち。席につくとソフィアがメニュー表の紙に手を伸ばして水を持ってきた男の若い店員に「ここからここまで全部持ってきて」と伝える。店員は訝しげに眉間にシワを寄せて「前払いだ」と言ってきた。ソフィアは小袋から金貨を一枚取りだして「これでいいの?」と言って店員に渡した。あの小袋は金貨が入っていたのか。
店員は慌てて注文を厨房に伝えに行った。すると大声で怒鳴る声が聞こえてすぐにガタイのいい男が厨房から出て来ると俺たちのテーブルに近づくと金貨を一枚置き、「この店の店長です。若い奴が失礼な態度を取ってすいません、グラスール様にお代はいただけないです。料理を堪能してください」とソフィアに頭を下げて、厨房に帰って行った。
俺は「ギルドの系列に料理屋も入ってるのか?」と聞いたら「まぁ、そうだね」と簡単な言葉で返ってきた。ギルドのトップは昨日から思っていたが伊達じゃなかったようだ。
料理は少しも待たずにドンドン来て、あっという間にテーブルが占領された。「食っていいよ」と言われたので、目につく飯をひたすら腹に納めた。
一息置く頃には全部の料理を残さず食っていた。俺はそんな大食いじゃないと思っていたが、スルスルと胃に流し込まれた料理は異次元に放り込むように腹が膨れなかった。お腹いっばいな今でもお腹が膨れていない、不思議な感覚だ。俺はスキルと一緒に身体まで再構築されたのか。
美味しかったと店を出る。ソフィアには飯を奢ってもらったような物でありがとうを言っておいた。水仙魔法50レベルで覚えた転移の技は自分のオーラを置いて、置いたところに転移すると言うもの。俺はアイラとソフィアにオーラを貼っつけた。
次はルーシーに貼っつけて、ドラゴン狩りでもして、エリアーナにでも会いに行くか。俺の幼なじみの中で確実に居場所が分かるのはエリアーナだけ。エリアーナは魔族領にある城で何不自由なく人々の安寧のために暮らしているらしい。この人族の城の連中が大々的にそう吹聴している。
【エリアーナ・アイム・アフィーリア】
スキル】 EX看破 EX絶対王政 EX女神の加護
あのどこまでも混じり気がない絶対の王。絶対に勝利しか約束しないスキル絶対王政。さっさと王が王位の座にエリアーナに上げていれば魔族領に行くことなんてなかったのに。ソフィアもギルドとマスターで、俺みたいな無職とは違う。ここで別れるのが最前かな。
「ソフィア、じゃあな。俺はまず魔族領に行ってエリアーナに会ってくる」
「はぁ、もう先のことを考えているんだね。分かった」
ソフィアも分かってくれて、旅の支度とルーシーに会わないと。スキルが変化しただけで、行動力まで変化したのか。ソフィアを別れ、考えながら歩いていると。
「どこまで着いてくる気だ?」
「え? エリアーナに会いに行くんでしょ? 僕もエリアーナに会いに行きたい」
ソフィアも着いてくることになった。
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