エピローグ
エピローグ
* * *
8月1日 晴れ
今日も、図書館へ行ってママのお仕事を手伝いました。
たくさんの本が山積みになっていて、すごい量でしたが、ママを手伝うことができて、楽しかったです。
お昼にはお兄ちゃんが図書館に手作りの大きなお弁当を持ってきてくれて、休けい室で図書館の管理人さんといっしょに食べました。
管理人さんはお兄ちゃんの作ったお弁当があまりに美味しいので、これから毎日作ってきて欲しいと言っています。
お腹いっぱい食べたあと、またお仕事を手伝いました。
大変なお仕事だけど、わたしはママといっしょにするこのお仕事が大好きです。
だって、ずっとママといっしょにいられるから
* * *
これはわたしが、小学生最後の夏休みに書いた日記。
あれから季節は過ぎて、秋が来て、冬が来て、春が来て……わたしは中学生になった。
死神図書館へ続く入り口が近くなったこともあって、学校が終わったらすぐに図書館へ行ってママとトトさんの手伝いをする日々。
相変わらず毎日たくさんの死書が次々に送られてくる。
死書の厚さは、その主人公が生きた時間によって変わってくるけど、そのどれもが一つ一つ、とても大切なものであることをわたしは知っている。
あのカギで書かれた15歳の誕生日を迎えて、ママにあの日のことを報告するのはまだ先だけど、その日が過ぎたら、わたしの死書はわたしの体に戻ってくるって、トトさんが言っていた。
そこから先、わたしが主人公の死書はわたし自身の歩んだ生きた全てを紡いでいく。
どんな未来になるのかわからないけど、きっと、死書官でいると思うんだ。
でもね、いつか聞かわたしもママになったら、自分の子供に聞かれると思うの。
ママは、なんの仕事をしているの? って……
「死書官だよ」なんて、言えないから、わたしはこう答えるよ。
「司書さんだよ」って————
— おわり —
死神図書館とひみつのカギ 星来 香文子 @eru_melon
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