第4話 すれ違い

 後ろからぎゅーされると本当に落ち着いて愛の居場所は優のとなりで大丈夫って感じた。


 そこから毎日当たり前のように会うようになり、気づいたら私は優の家に転がり込んでいた。ずっと、毎日一緒だった。お互い夜のお仕事だったから出る時間も一緒、帰宅の時間も変わらなくて、ほんとにほんとにすごく毎日幸せな日々だった。


 ーー3ヶ月後


 一緒に暮らし出して3ヶ月が経っていた。喧嘩もほとんどなくてずっと仲良しだった。今日はバレンタイン!どうしてもBARのお客さんよりも高いチョコをあげたくて、早起きしてブルガリにチョコレートを買いに行った。ブルガリでチョコを買うのなんて初めてですごく緊張したのを今でも覚えてる。そしてチョコを買うと1秒でも早く渡したくてタクシーに駆け込み急いで家に帰った。


「おかえり、どこ行ってたの?」


「起きてたの?ただいま!はい!これ!バレンタイン!!!」


 私自身初めてバレンタインに家族以外の人にチョコをあげたから手作りの方がいいのかな〜とか悩んだけど、喜んでくれてひと安心した。でも私たちにはちょっと早くて、少し大人の味がするね!って言いながら仲良く一緒に食べて、私は仕事が休みだったから雄のBARに一緒に行った。バレンタインってこともあり雄のガチ恋客だらけだった。たくさん私の目の前で手作りチョコや市販のチョコをもらっていて嫉妬した。やっぱり女の子だからだけが良いなって気持ちで溢れた。そして耳をすまして話を聞いていると……その店に来ていたお客さんと雄が付き合ってるらしい

 どういうこと??一緒に住んでるんだけど?って頭が真っ白になった。


「ねえ優、あの女の人と付き合ってるの?私ってなに?どういう存在?」


 もちろんめんどい女って思われふのは承知の上。勢いで聞いてしまった。


「あ〜〜、色客。お金使ってくれてるから色かけてるねん愛だってキャバしてるねんからわかるやろ?」


「なんで色客が来るって分かってて私連れてくるの?喧嘩になるの分からない?」


 初めてバレンタインの日に大喧嘩をしてしまった。BARも飛び出してしまった。私も夜職してるんだし理解できたら良かったんだけど目の前でイチャイチャされるのが耐えれなかった。好きな人が私以外の人と距離が近いとかイライラするに決まってる。なんでそんな簡単なこと分からないのって優にすごく怒ってしまった。それと同時に私も色客なのかなってすごく勘ぐった。

 家に帰って荷物をまとめて初めてこの日に家出をした。


 傷つくのが怖い


 ただただ怖かった


 急だったこともあり行くあても無かったかその日はビジホに1人で泊まった。ひとりで寝るのなんて数ヶ月ぶりだったから寝付けなかった


 営業終わったのかなってくらいの時間帯に優から電話がかかってきた。当たり前に無視した。すると鬼電と鬼のLINEが鳴った。


 うるさすぎるから仕方なく電話に出た


「なに??もう寝るところ」


「いや俺もう家帰ってきてるけどおらんやん、荷物もないし。どこおるん」


「ポストに鍵入れてきた、もう終わりにしよ」


「俺は愛が居ないと無理もう店には来なくていいから家に居て、お願い」


「もうわかんない、一緒に居たらつらい」


「俺は愛が俺の傍に居ないことが辛い。1回話そう?帰ってきて」



 付き合ってないのになんでそんなことが言えるの?って思いながらもとりあえず会って話すことになった


 会ったら離れられなくなるのなんて分かってるけどそれでも会いたくなってしまう。恋ってそんなもんでしょ??


 ホテルをチェックアウトし、タクシーで優の家に向かった

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なんなよ言ってよなんでもするから まりも。 @__maa

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