第3話 彼女……?

 ーー翌日


 目覚めると優から「今日仕事終わり会いたい家で待ってる」と一通のLINE。もちろん私は「わかった、向かう時また言うね」と。


 という女の人は本当は誰なんだろうってモヤモヤする中私は仕事に向かった。

 あ、言い忘れていたが私はキャバクラの仕事をしている。今日もいつも通り浴びるほどお酒を飲んだ。でも今日の私はひと味違う。そう、仕事が終わったら優に会えるからだ。


 時間が長く感じた


 いつもならあっという間に過ぎる出勤時間も倍以上の時間に感じた


 そしてやっと仕事が終わりお店の送迎で優の家へ向かった


「今仕事おわったよ、今から行くね」と言うと優は「ごめん、急に出勤になっちゃって・・・お店に来れないかな?」と。


 私もキャバ嬢だ


 それなりの暗黙のルールは分かる


「わかった!」と返事をし送迎先を優の家からBARへ変更した



 仕事終わりにあまりお酒は飲みたくない


 もちろん明日も仕事だから


 でも優に会えるならそれでもいい



 カランカラン



「いらっしゃいませ!」と従業員が私に言う


 店内を見渡すと優は居なかった


 ……??あれ……?


「何飲まれますか?」と従業員に聞かれた


 前回来た時は2人きりだったから他の従業員とは初対面だった


「あ、あの……ブルーハワイひとつお願いします。それと優くんって今居てないんですか??」


「優は一瞬出てます、どうされましたか?」


「いや大丈夫です、居ないのかなって思っただけです」


「そうなんですね、一応伝えとくのでお名前伺ってもいいですか??」


「愛といいます。昨日もこのお店来てたんです、雰囲気いいですよね」


 と言うといきなり従業員さんは驚いた顔で声のトーンがあがりハイテンションでこう言った。


「あ!優の彼女さんね!」と。



 ……???



「え、違いますよ?」と一言返すと


「いやお話は聞いてます!最近優が好き好きって俺に惚気けてくるんですよ〜」


 付き合った覚えはない


 でも私の知らないところで私の話をしてくれているのは素直に嬉しいもんだ


 そしてしばらくすると優が店に来た


「愛〜!お仕事おつかれ!ごめんね1人にして……!寂しかった??」


「優もおつかれさま!従業員さんが相手してくれてたから寂しくなかったよ」


「そっか!よかった!仲良い同業さんのお店が周年で一瞬顔出てた!結構呑んだ?」


「んーん、まだ二杯目だよ」


ゆうた〜!従業員俺にも愛と同じの!」


 ーー乾杯



「紹介するね、この人ゆうた!昔から仲良くて今一緒に働いてて!仲良くして!」と従業員を紹介してもらった。


 好きな人の周りと仲良くなれる絶好のチャンスを逃したくない私は二つ返事で3人で呑んだ



 お酒の場は本当に仲良くなるスピードが早い


 あっという間にゆうたくんとも仲良くなった



 そして営業時間がおわりお店を出るともう外は明るかった


 朝だ。



 この後どうするんだろう、一緒に帰るのかな今日は解散なのかな



「愛ちゃんありがとうね〜!ご馳走様!一緒に帰るの?」とゆうたが言うと優が即答で「あたりまえ!おつかれ!気つけて帰れよ!」



 一緒に帰るんだ……


 ゆうたとバイバイしたあと優とふたりでタクシーに乗って優の家に向かった


 もう3日連続で会ってるなあ


 3回会って付き合わなかったらもう付き合えないってよく聞く話だけど……どうなんだろう


 そんなこんなで優の家に着いた


 そして当たり前のように事を済ました


 ほんとに好きって思ってくれてるのかな……



 はあ……



 スヤスヤ眠る優の寝顔を見ていると自然と涙が零れた



 え、なんで私泣いてるんだろう



 もう後戻りができないくらい優が好きなのは自分でも分かっていた。優も私を好きだと言ってくれる。だけど〝付き合って〟とは言ってくれない。辛い。何が正解なのかな


そもそも付き合う前に一線を超えてしまうような男に未来さきは無いのは分かっている。じゃあ私はなんで今優に会ってるんだろう、優とどうなりたいんだろう



背中を向けて声を殺して泣いてる私に優は後ろからぎゅーをしてきた


気づかれた??



後ろを振り向くと優は寝ていた



寝ぼけながら無意識に後ろから抱きしめてきていたのだ


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る