第2話 鉢合わせ

「優くん開けて起きてるんやろ」


 と朝から玄関前で叫ぶ彼女らしき人


 そっと目を開けると優は携帯を触っていた


 起きていたのだ。


 ……え?フルシカト??ん?どういう状況??


 あまり踏み込みたくなかったがさすがに気になってしまった。


「誰か来たの?大丈夫?」


「あー、元カノ。寄り戻したいつてしつこくて。起こしちゃってごめんな」



 私からしたら彼女だろうが元カノだろうがここまで来たらどうでもいい。ややこしい事にだけは巻き込まないでくれ、そう願った。


 そしてしばらくすると叫び声も収まり静か

 になった。


 ゆっくりしているとお昼になり小腹が空いてきたのでランチに行くことになった。支度が終わり玄関を出るとそこには女の人が座っていた。びっくりしてドアを閉めようとすると止められた。彼女なのか元カノなのか分からない女性と鉢合わせてしまった。ややこしい。だるい。電気を消して後から玄関に向かってきた優に女の人はこう言った。


「この女だれ?」


 そらそう。私でも逆の立場でもきっと同じことを言ってるだろう。優はまた無視をして玄関の鍵を閉め私と手を握りエレベーターに向かった。


「え、いいの?あのままで。あの人合鍵持ってるんでしょ??」と私が言うと「ああ、ほっといていいよだるいし」と答えた。


 その後のランチは気になることが多すぎて味がしなかったのを今でも覚えている。


 そして食べ終わった後、優の家に一緒に帰るとあの女の人はもう居なかった。きっともう帰ったんだろう。そしてそのまま夜は優の働くBARに一緒に向かった。


 しばらく楽しく2人で飲んで居ると次はBARに朝方の女の人が来た。

「ゆい何しにきたん?」と優が怒ったように言った。朝方の女の人は〝ゆい〟って名前ならしい。修羅場は勘弁…って思った私はすぐにお会計をし、店を出て自分の家へ向かった。玄関で鉢合わせているからややこしい気がしたからだ。


 その夜、家で寝ていると優から電話がかかってきた。


「ん、どした?」と喋る私に「もう会えない」と一言。寝起きで頭が働いてなかった私は「うん、わかった」と言い電話を切った。


 すると電話が切れた後LINEで


『ごめん、明日会いたい』


 とLINEが入っていた


 状況が掴めなかった


「ゆいちゃんと付き合ってるの?」と言うと

「ゆいは元カノだよ、俺が好きなのは愛だよ」と返ってきた。


 じゃあどうして電話であんなこと言わされるんだ??もう頭がパニックになっていた。


 もうこの頃には知らない間に私は優の事が好きになってたのだ。


 今は優のこの言葉を信じたい


 いいや、信じないと私の気持ちが持たないから信じるしか無かった

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