なんなよ言ってよなんでもするから

まりも。

第1話 疑いから確信に

 ーー3年の思い出と時間は想像してた以上に大きくて私にとって全てだった


 私は桜庭愛サクラバ アイ

 占いに行くと「貴方は男性が居ないと生きていけない」と言われるほど男に溺れてるらしい。自覚はない。そんなある日、今から約3年半前の2019年10月25日の夜、たまたま立ち寄ったBARで優という名前の男性と知り合った


「いらっしゃいませ、何飲まれますか?」

「あ、なにかオススメを」


 時間が朝方だったってこともありお店は

 私と優の2人だけだった

 そしてお酒を交わしながら話をしてるうちに

 優が突然「愛ちゃん可愛いね」と言う。


(え、なに嬉しい)


「それ誰にでも言ってるんでしょ」


 と照れ隠しする私にそっと頭を撫でる


 いい感じに酔っ払った私たちは当然のように距離が近くなった。男に飢えてる私は同然のように受け入れる。そして出会ったその日に体を許してしまう。今思えばもうここから私にとって最低で最高な人生は始まってたんだと思う。


「おはようよく寝れた?」

「おはよう、寝れたよ」


 付き合っても居ない人とおはようを交わすのは私にとっては日常茶飯事だ。やることをやり、事を済んだ私は起きて急ぐように服を着る。もちろんもう用はないから。


「愛もう帰るの?」


 優がそう言った。


 寂しい顔に見えたが少しほっとした顔にも見えた。たかが1回したからって長居されてもウザイだろうなと勝手に自己解釈してしまう。これは私の悪い癖だ。


「またね」



 部屋を出た



 私は付き合う前にした男は恋愛対象に入らない。もし仮に付き合ったとしても、付き合う前にそういうのをする人っていう目で見てしまうので上手くいった試しがない。世で言う〝ワンチャン〟って言葉が分かりやすいのかもしれない。1度やった男とは基本的に二度と会わない。変に束縛されてもダルいから。




 ピコンッ……ピコン



 深夜2:00

 突然LINEの音が部屋に鳴り響く


「何してる?」「愛に会いたい」


 と優からの二通のLINEだ


「家にいるよ、つい数時間前まで居たじゃん(笑)」


 そんなLINEを送りながらいつでも家を出れるように化粧をし、支度を始めた。普段なら絶対に会わないのに何故か会いたくなってしまった。こんな感情初めてだった。


「今から会いたい」


 深夜2:00に会いたいと連絡してくる男に

 まともな男は居ない。そう分かってても会いにいってしまうのが女だ。


 そして急いでタクシーを止め優の元へ向かってる途中にあるTwitterが流れてくる。それは優の彼女らしき人と優のツーショット


 あれ彼女居ないって言ってなかったっけ……


 ツイートを遡っていくうちに優は他の女と付き合っていることを知る


 でもなんだか別れてるっぽい



 ……え??


 頭が真っ白になる私


 どっちだろう……?もし彼女が居たら後々めんどいなと思いながら優の家へ向かう



 ピコン



「何時頃こっち着く?早く会いたい」


 優からLINEが届いた


「もうそろそろ着くよ部屋番おしえて」


 こういう時彼女が居ると分かってても会いに行ってしまうのは罪な女なんだろうか。いいや人間味があっていいじゃないか。


「愛〜!」


 会った瞬間にぎゅーしてくる優


 私はそんなことよりも彼女が居るのかが聞きたい


 でも私はたった1回昨晩一緒に過ごして今日も会ってるそれだけの女だ。そして私も別に優が好きなわけじゃない。変に深入りするのはよしておこう。



「お邪魔します」


 昨日は無かった化粧水や乳液がテーブルの上に散らかっていた


 ……あ、やっぱり彼女居るんだと察する私


 お互い割り切ってて体の相性だって良いから彼女の事なんか気にしなくていいじゃないかと開き直る。


 そして用が済んだから帰ろうとすると優はこう言った。


「泊まっていきなよ、もうちょい一緒に居たい」


 彼女居る男が何言ってんだ!と思いつつ時間も時間だったのでお言葉に甘えて泊まることにした。そして一緒に寝て居ると急に


 ガチャッ


 鍵が開く音がした


 それと同時にチェーンでドアが開かない音がした


 私が部屋に入った時はチェーンは閉めてなかったからきっと私が寝てる間に優が閉めたんだと思う。


「優くん開けて〜!」



 と女の声


 合鍵を持ってるってことはきっと彼女だろう


 彼女が居ることが疑いから確信に変わった


 言わゆるこれは修羅場だ。


 思い寝たフリをしながら私は耳をすました



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