縁
季節は春になり、外を歩くのが楽しい季節が巡って来た。
日課となった散歩を楽しむために、お満は今日も陽の光の下、歩んで行く。
気持ちの良い風が吹いてきて、春の訪れを花々が喜ぶように揺れている。
人の縁とはとても美しいものだとお満は思う。
この苦しく熱い胸の思いも、幸せに打ち震える日々も、あの人が教えてくれた。
ついに、あの人が腕に抱くことは出来なかったが、お満に血のつながったややこまで残してくれた。
共に過ごすこともう叶わぬが、この子がいればもう自分は大丈夫。
寂しくないに違いない。
戦がもう少し静かになったのなら。
沢山の人と遭わせてやりたい。
きっと人と出会うのは恐い事だけではないのだから・・・。
春先の花と土の香りに包まれながら、お満はそっと愛おしそうに腹を撫でた。
花火 天野 帝釈 @kouba1wtmsl
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