あとがき

あとがき、と書いて蛇足

 どうも、つきなみです。

 今回は思っていたより長い話にお付き合いいただきありがとうございます。

 プロットなしでふらっと始めたこの物語が伸びやかに進んで、最終話まで話が破綻せずに、また皆さんの支持を受けて毎日連載できたことがうれしくもあり、誇らしくもあり。

 読者さんあってこそ。

 応援ありがとうございました。


 毎年、カクヨムコン用の長編書いて、そのあともう一本長編書いてって感じなんですけど、カクヨムコンはやはりお祭りなのでPVもすこーんと上がるんです。でもその後の一作は大体これくらい······という感じ。

 ところが今回は思っていた以上のPVがついてうれしく思っております。やはり、読まれてこその作品ですので。


 ただ、PVが多い作品というのは興味津々で見にこられた方が多く、また、読み専さんも多いようでコメントをいただけなかったのが残念です······。ほんとに。

 ☆は結構いただいたので、読み専さんが多かったのかな。確かに事細かに突っ込まれるのも困る時がありますが(ネタバレしそうになったり)、感想をいただいて、そういう風に受け止められてるんだなぁと思うところがあるので、まだ感想、受け付けてます(笑)。こちら、作品の方にでも、近況ノートでも、Twitterでも構いませんので大募集中。


 表現の話。

 わたしは漢字を平仮名にして表記することが多いのですが、今回はいつもより少しだけ漢字を多く使ってみました。そして、読書慣れしていない方のために、普段あまり見かけない漢字にはルビを振ることにしました。

 たとえば紫蘇しそとか。

 漢字で表現したいなぁと思うところはちょっと難しい字でも漢字にしました。

 ルビが多いと読みにくいという話も聞きますが、そんなにたくさんではなかったように思います。

 というのも、今回はいつも以上に丁寧な文章を書こうと気をつけたんですけど、読みやすかったでしょうか?


 ストーリーの話。

『大人の17日後』っていうフリはいらなかったかなと途中で思いました。

 大人とモラトリアムの学生の恋はまるで違って、有結たちの恋はより愛に近く、由芽たちの恋は子供の遊びに近いんだなぁと書いていて思いました。

 部屋を出ると言っても、たった二週間で無職の女の子が即入居できるアパートなんてないですよね。そういう現実的なところが全然違う。二週間、ただ泣き暮らせばいいわけではないわけです。これはオリジナル『17日後』とはずいぶん話が変わるなと思いました。

 それでどうなったかはご覧の通りです。


 キャラクターの話。

 由芽と要に対して、有結と誠。

 そんな感じで名付けました。

 有結は、わたしのペンネームが一文字入っちゃうので「どうしようかな?」と思ったんですけど、辻村深月さんはデビュー作の主人公を『美月』にしているし、そういうのは多いそうなので、自分の分身というわけではなく、ただ名前として構わないかな、と。

 誠は自由な感じの要に対して、こじんまりした感じの男の子ってイメージがあって、真面目な名前にしました。

 元々、この小説は完全な一人称で書こうと思っていたので、最初はなんとなく誠の出番は少ないかなぁという気で(そうでもなかったですね)。

 教師!

 森下耀二、森下というのは要と同じ苗字です(笑)。誰にも突っ込まれなかった。

 名前は躍動する生命力、みたいなものを表したかったので耀二とつけました。ちょっとキラキラネームですね。

 葉山さん。

 葉山は神奈川県の葉山のイメージ。行ったことがないんですけど、コバルト文庫の『丘の家のミッキー』シリーズで嫌ってほどその世界にいたので、頭の中のイメージで葉山さんにしました。つまり、ヨットを持ってたり、お金持ちで礼儀正しかったり。『丘の家のミッキー』が好きだったので(笑)。成海という名前は響きがいいので適当につけました。

 舞美。

 苗字もない。そして救いもない。わたしの作品には本当の意味で悪人はいないと言われるんですが、この人は別です。救いは書きませんでした。逆に言えば浮気相手になるだけの存在、ということでしょうか?


 キャラクターの話つづき。

 誰が好きかと言われると――葉山さんと教師がどっこいどっこいで(笑)。

 どっちでも来いという感じです。

 葉山さんは落ち着いていて頭も回りそうなところ、やさしくて親切なところ、いいですよね。おまけにお金持ちだし。ただ耀二しか好きじゃないところが問題ですが。

 教師はやっぱりわたしの憧れがもりもりに盛ってあるので捨てがたい。こんな人が目の前に現れたらぽっとしてしまうに違いない。ただ歳の差って経験したことないので、そこのところ、どうなんでしょう? そもそも、水泳をする人が好きで、しなやかな筋肉と逆三角形の体が最高に好きなのです。うちの女の子にはスイミングは行かせませんでした。肩と背中に筋肉つくので。(若い頃のわたし)

 耀二はまさにそういう体型、後ろから抱きつきたくなる体かなぁと思います。ぶっきらぼうなやさしさも好きです。


 またまたストーリーの話。

 順調にPV伸びていたので(最高500近かったかな?)、最終話は、と思ったら100でした。

 読者さんに指摘された通り、皆さん、有結の男関係がどうなるのかに興味津々だったようです。

 PVだけ考えたら教師の求婚は後回しにしたり、というのもできたのでしょうが、わたしの中ではあの辺の話はベストかなと。(※完結後、最終話まできちんと読んでいただけていることが判明しました)

 ちなみに有結が一時的な失語症になる、というのも考えたのですが、ふたりで失語症と記憶喪失になるのも重なりすぎだろうと思ってやめました。

 PVを分析すると、ちょうど誠のドタバタの辺りのPVが(一日ごとの)すごく伸びています。それで有結が結果を出したらしゅーんと沈んだので、残り二話だったからそれでよかったのか、悪かったのか······。

 まあ確かに残り二話はおまけみたいなものだったかもしれませんが。


 気に入っているエピソード。

 ひとつめは最初のキスシーン。

 いくらなんでも早すぎるだろう、と思ったんですが、その角度がちょうど良かったから、という流れが捨てきれず早い展開になりました。なんだかすみません。

 あと、レバニラと坦々麺が重なるシーン(笑)。できるだけ巧妙に、いやらしいけど詳細じゃないシーンを目指して描きました。この手はもう使えない!(バタフライの話) なかなかいいシーンが書けたと思いますが、いやらしいので読み直せません(笑)。そのあとに出てくる間抜けな葉山さんがすきです。

 それから誠の蹴りのシーン。男の人ってたまに思いっきりキレますよね?(わたしだけ!?) それがなかなか上手く表現できたかなと思っています。

 その後の有結が揺れるシーンは全然自信ないです。ちょっと有結に感情移入しにくかったから。誠と有結の幸せだった時があまり想像できなかったんだと思います。

 設定の上では、『死んだ女』の話と葉山さんが耀二しか好きじゃないというのは話の中で底を流れる設定になったんじゃないかなと。なってました?

 終盤で有結が耀二に「悲しかった?」「悲しかったよ」、「寂しかった?」「寂しかった······」のシーンにじんと来てしまうんですけど、要するに耀二はただの王子様じゃない、スーパーマンでもない、ただ人生経験は積んでるんだ、ということだと思います。


 絵の話。

 自分はまったく描かないんですけど、子供が美術とイラストをやっているのでそれをネタにさせていただきました。子供はネタの宝庫です(笑)。

 美術教師は実際わたしが教わった先生がモデルで、わたしは賞を取りませんでしたが、自由に作るということを教えてくれて、そして作品を評価してくれた方です。今でも感謝しています。美術関係に進まなくて申し訳なかったなとふと思い出すことがあります。

 絵は学校で教わる描き方だけではなく、造詣には単なる模様(例えば花やなんか)を描くのではなくパターンを続けるだけの意匠を凝らしても構わないんだと教わりました。授業がとても楽しくて、いくつか参考作品に選んでいただきました。

 有結と教師のようなことはありませんが、再会できたらいいなと思う人のうちのひとりです。


 なんだかいろいろ書きましたが、とりあえずわたしは今までいろいろ書いた中でもこの話はなかなか好きかなと思っています。

 根性があったら、少し展開に無理のあるところ、納得のいかないところなどを直してコンテストに出そうかなーと思っています。書き始めた時にはちっとも思わなかったんですけども。


 あと、エブリスタさんでも遅れて連載していて、スター特典というのがありまして☆をいただいた数で読める小噺みたいなものを書いています。

 まだ作品紹介なんですけど、1、2話、掌編を書こうかなと思ってるので気が向いたらチェックしてください。

 ちょっと、向こうでは『特典』なので、こっちでタダで読めるというふうにはしにくいので。申し訳ありませんが。


 最後になりますが、これをご縁にこれからも精進いたしますので応援よろしくお願いします。

 以上、月波結でした。


 2021年7月吉日 月波結

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なんにもない。 月波結 @musubi-me

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