【読切】最強の色

ニノ

【タイトル】最強の色


「なあ、一番強い色ってなにかな?」


「なにそれ。色に強いも弱いもないよ。男子は幼稚だなぁ。」


「ああもう、うるさいな。幼稚だって言うなら強い色言ってみろよ。」


「ええ、そうだなぁ。じゃあ黄色。お金の色。お母さんが世の中はお金だって言ってた。結婚するときは稼ぎがいっぱいの人と結婚しなさいって。」


「……夢がないや。僕は赤だね! 太陽の色だ。真っ赤に燃える太陽には勝てっこないだろー!」


「じゃあ、私は黒にしようかな。宇宙の黒。太陽だって宇宙の一部。それに黒は何者にも染まらない。黒は無限大なの。」


「うっ、それは……ずるいぞ。なら、俺は紅白だ! 赤と白で二つの色だ。一色の黒なんかよりずっと強いんだからな。」


「へえ……そう言うこと言いだすんだ。じゃあ、私は虹色。七色だよ、紅白の何倍も強いんだから。」


「うっ、そうしたら……そうしたら、あっ、玉虫色だ! 何色にもなれる無限の色。七色なんかよりずっと強いぞ。どうだ!」


「ええー、その色が最強はやだよ。だって玉虫色って意見がころころかわる人のことを言うんだよ。良いイメージがないよ。強いかもしれないけど、そんなのいやだよ。」


「そうかあ、イメージかあ。あっ、じゃあみどり!」


「え、なんでそこで緑?」


「だってさ、おまえの名前じゃん。だから、みどりだ。」


「それなら……それなら、私はあおだよ。」


「え、何だよそれ。真似すんなよ!」


「真似じゃないよ。私の方がずっと前からそうだったもん。」


「なんだよ……それならさ。それならーー」


「うん。」


「「あおみどりが最強だよね!」」


僕たちの声が重なって。

僕たちは真っ赤になって笑いあっさた。

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