第2話
公爵家当主代理【リリス・ルジェント】の治める領地【ルジェント地方】の主要都市【エント】。その都市の中央広場に【ガゼント教】の大司教である【ゼートムント】を筆頭に他数十名の者達が生きたまま磔にされた。
磔にされた者達の側には立て札が立てられており、そこには【ガゼント教】が行ってきた様々な事が羅列されており、それに加担したとされる【ゼートムント】と他の者達の一人一人の名前も同様に記載されていた。
立て札の最後には【リリス・ルジェント】の許可のもと『好きにして良い』との記載があり、当初は遠巻きに見るだけだった民衆も一日、また一日と経つにつれて暴行や追い剥ぎを行い始める。
何故かどれ程に乱暴しようとも磔は弛むことはなく、また解放しようとした場合も不可能であった。
民衆の暴行は日に日に酷くなっていき。早くに死ぬことが出来たものは逆に幸せだったと思われる。
明らかに他の者よりも暴行の数もその酷さも上の扱いを受けていた【ゼートムント】はまるで何かに、強制的に生かされており、他の者達が死ぬまで死ぬことはなかった。
磔にされた者達は、当初は当然ながら無罪や無礼を騒ぎ立てたが、いくらかの時の経過のあと誰も彼もが泣きながら謝罪と慈悲、助命を懇願していた。最後まで抵抗していたのは【ゼートムント】であるが、抵抗を諦めてからは謝罪を繰り返し、死を望むようになった。
これらの報告は瞬く間に大陸中に拡散された。
【ガゼント教】として使者を送り事情の説明を求めたが、送った使者の誰もが【ゼートムント】と同じ末路を辿る事になった。
尚、同行していた筈の者が数名、磔にされておらず、その行方は不明である。
どうやら【リリス・ルジェント】は天より授かりし我々の奇跡の象徴とも言える道具、【天界具】を無力化しているようである。
その後の被害が他の都市、他の者まで同じ末路を辿っていることからも伺うことが出来る。
【リリス・ルジェント】は【反教会組織・ルジェント】を立ち上げ、国家【ルキフェル】の建国を宣言。
今まで信徒を磔にしてきた都市、地方において絶大な支持を受け歓迎されている模様。
反教会組織は【討伐隊・ルジェント】と名前を改め、国家【ルキフェル】の名で我らが【ガゼント教】と【ガゼント教】の母体でもある【カースント聖教国】に宣戦布告。
どんな攻撃も効かぬ不死の兵士たちの猛攻を前に現在は誰もが己の所有する場に立て籠るしか方法がない。
その方法も多少の時間稼ぎにしかなっていないのが現状である。
報告は以上。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「バカなバカなバカなバカなバカなバカなバカなバカなバカなバカな!!!!」
「バカは貴女だ。【ガゼント教】教祖であり【カースント聖教国】教皇【トトルメ・ガゼント・カースント】よ。」
「誰じゃ!?ここは妾の自室ぞ!!」
「城の警備がなっていないようなので、失礼ながら邪魔をした。」
「きさま、は―――!?」
「お初に御目にかかる。【ルキフェル国】の女王【リリス・ルジェント・ルキフェリア】である。
その報告は少し遅い。残るはここ、そして、貴女だけだ。教皇。」
「そんなバカな!?!?」
「同じ言葉を何度も――――教会の、一国の頂点に立つ者とは思えんな。―――――さて、貴女にはこれまでと同様に他の者達と同じ末路を辿っていただく。」
「っ!?わ、妾を殺すと申すか!?この無礼者め!?!?」
「無礼なのは貴女だ。教皇とは言いはしたが、もはや【ガゼント教】も【カースント聖教国】も瓦解し、教会としても国としても成り立っておらん。つまり、今は貴女はただの人。いや、【ルキフェル国】に反逆する悪逆の徒。大人しくその身を差し出しなさい。」
「ふ、ふざけるでない!!妾は、妾は教祖、教皇、神の代弁者じゃ!!妾に反する貴様こそ!悪逆の徒なのじゃ!!!」
「大人しくしていれば少しは楽になれたものを―――ルキフェル様。申し訳ありませんがよろしくお願いします。」
「待ち
「な、なんじゃ!?貴様は!?――――そ、その黒い翼・・・・あ、悪魔!?」
「悪魔は悪魔でも【悪魔神】である【ルキフェル】様である。頭が高い!控えなさい!!」
「っ!?」
「さっさと終わらせよう。もはや貴様はこの様な下衆に手を煩わせる時間もなかろう。政務の手が止まっていると多くの者が嘆いているぞ。」
「あら、そうなのですか?
全く不甲斐ないですね。わたくしが居らずとも問題ないようにしたはずですのに。」
「き、貴様ら!妾を無視するなど!!」
「あー。悪いな。では、改めて。―――今から貴様には『一年』生きて貰う。勿論磔だ。我の力で1年間ありとあらゆる陵辱を受けよ。死ぬことは我が許さぬ。頭を潰され様と我が治してやる。心臓を抉られようと生き長らえさせる。手がなくなろうが、足がなくなろうが死なせん。必要とあらば元の身体に戻してやる。一年。貴様の
「パチン!」
召喚!中二病の俺は下僕様~魔王となりて美女を救う~ ホウセイ @ru-van
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