ブラック企業で勤める社畜の俺は限界を迎えるが、突然幼馴染JDに養われることになり、甘やかされ生活が始まった!
第7話 あなたは神を信じますか? それはどちらでも構わない。だってあなたの自由なのだから。しかし自由は自由でいいとしても、世界が俺を中心に回っているという考えだけは間違っていると断言する!
第7話 あなたは神を信じますか? それはどちらでも構わない。だってあなたの自由なのだから。しかし自由は自由でいいとしても、世界が俺を中心に回っているという考えだけは間違っていると断言する!
「……少し整理がしたい。まず凛の目的はなんだ?」
「凛の目的?」
「ああ。何か理由があって、俺のことを探っているんだろ? じゃないと、俺のことを気にする必要性を感じない」
「…………」
凛は意味深な笑みを浮かべ、そしてゆっくりと喋り出す。
「それはね……」
「それは?」
「……ただ直くんの幸せを考えているだけだよ」
「お、俺の幸せ?」
すると凛は、ニコーッと満面の笑みを浮かべ出す。
「そう! 凛は直くんの幸せだけを願っているの!」
「…………」
理解不能。
凛は目をキラキラさせそんなこと言うが……彼女の思考が理解できない。
何が目的? 目的がなかったらそんなことしないよね? ね?
「だって直くんだよ? 直くんみたいな人が幸せじゃないなんてあり得ないでしょ?」
「お前の考えの方があり得ないよ! 俺ってなんだよ? お前にとって俺ってなんなんだよ!?」
凛は口元に人差し指を当てて思案顔をする。
あ、可愛い。
美女はどんな表情してても可愛いな。
「神?」
「は?」
「神と同意義かも知れないね」
「んなわけあるか! なんで俺と神が同意義なんだよ! 俺に対して盲目的過ぎるし、神を軽んじ過ぎだ!」
凛はそれこそ神に祈るかのように、両手を胸の前で組む。
「直くんは凛の救世主……そんな直くんが不幸だなんて間違ってる。あのクソみたいな会社も間違ってるし世界が間違ってると思うの!」
「会社はどうか知らないけど、世界は常に正しいだろ。常に正しいから回ってるんだよ」
「直くんが不幸のどん底にいるんだから、正しく回ってないよ。世界は直くんを中心に回るべきだと思わない?」
「思わないよ! なんで俺を中心に回るんだよ。今時天動説を信じようとしてるようなものだぞ」
俺は「地」でさえも無いのだけれど。
だってただの人間なのだから。
地球に住む七十億分の一の存在でしかないのだから。
「ううん! 凛は確信してる! 直くんを中心に世界は回ってるって。水星も太陽も地球でさえも、直くんを中心に回っているんだよ」
「どこで確信したの? ねえ、どこにそんな要素あったの?」
凛は心の底から俺を神格化させているようだった。
あれだな、これ……
思ってた以上にヤバい奴だ。
俺は寒気と胸のときめきを同時に覚え、ポカンとして凛の顔を見ていた。
ヤバい奴って分かっていても、これだけの美女に良い風に思われるのは悪くないよな。
なんて考えている自分もいる。
「だから直くんには幸せになる義務があります」
「そんな義務あるの?」
「あるよ。まぁ幸せになる義務は誰にもあると思っているんだけど……特に直くんは責任重大。何が何でも幸せにならないといけないの。太陽が昇るように、直くんが幸せになるのは当然のことなんだよ」
凛の思考についていけない。
なんで凛はこれほどまでに俺のことを崇拝しているんだ?
その理由が全く思いつかない。
答えに至らない。
まるで穴埋め問題で、全ての文字が黒く塗りつぶされているような気分だ。
そんなの答えなんて分かるわけないだろ。
「お、俺のことをその、良く思ってくれてるのは嬉しいんだけどさ……なんでそこまで思ってくれてるんだ、凛は?」
「……覚えてないの?」
「覚えてないっていうか、身に覚えが無いって方が正しいと思う。だって凛に対して何かやってあげた記憶がないんだから」
凛はそこでシュンとする。
肩を落として、あからさまに落ち込んでいるようだ。
「直くん……覚えてないんだ。直くん、凛のこと助けてくれたんだよ?」
「え? 助けたって……何から?」
ガーンとショックを受けている凛。
彼女は肩を震わせ、潤んだ瞳で俺を見つめる。
え、そんなショック受ける?
「……凛、言わない。直くんが思い出してくれるまでは言わないから」
「ええっ……」
見に覚えがない物を思い出せなんて言われても困るんですけど。
プクッと頬を膨らませた凛は可愛いくて、戸惑いと共に胸をキュンとさせる。
「ま、まぁ、凛が俺を想ってくれてるのは分かった……後聞きたいのは、お前、今何やってるんだよ? 普通の生活じゃないよな、こんなところに住んでて」
「え? 女子大生だよ?」
「いやいやいやいや……元々平均的な生活レベルだったよな? なんでこんなぶっちぎりの富裕層みたいになってんの?」
「んん~それは恥ずかしいから秘密!」
凛は顔を赤くしてキャーッと一人で騒いでいる。
可愛いのは可愛いけど……なんで照れるんだ?
と言うか、秘密ってなんだよ。
俺は一番知りたいことが聞けないもやもやを胸に感じながら話を続けた。
「まぁ、お前が何してるか無理に聞かないけどさ……とにかくさ、退社の件も、昨日泊めてくれたことも感謝してるよ」
「うん。どういたしました。直くんの役に立てて凛、嬉しいよ」
「じゃあ、そろそろ帰るわ。新しい就職先探さないといけないし」
「ああ、直くん」
「ん?」
「仕事なんて探さなくていいよ」
「……なんで?」
俺はキョトンとして凛のにこやかな顔を見る。
彼女はニコニコしながらハッキリとした口調で言う。
「直くんのことはこれから凛が養うから、つまんない就職なんてしなくていいよ」
「……は?」
俺は凛の言葉に固まってしまっていた。
養うって……何言ってんの、こいつ?
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