第4話 無謀な目標
「うっ」
頭がズキズキする。どのくらい眠っていたんだろう…
(いや、いやいや!僕、熊にめちゃくちゃにやられただろ…無事なわけがない)
とはいえ、あの痛みが、絶望が夢などとは思えない。体から血が抜けて冷たくなっていく感覚も覚えている。
「何で無事なんだ…?」
体をペタペタと触る、破れた服はそのまま体だけが戻っている。そういえば腕だってすっかり治っている。
ふと横を見ると、顔を血まみれにした大きな熊の死体が横たわっていた。
「うわっ」
(本当に僕がやったのか?死に物狂いだったせいか何をしたかはほとんど覚えていない)
「あなたには死ぬ権利がありません。」
「!!」
(こいつの声…死ぬ間際にも…)
「助けてくれたって訳じゃないよな?」
「助けることは出来ません。」
(やっぱりな、そんな感情あるようには思えないし…)
「って、権利?どういうことだ?」
「そのままの意味です。あなたは此方の依頼を達成するまでの間、あらゆる自由が認められておりません。」
「そんな…滅茶苦茶だ。あんたが何でもできる神様みたいな存在ってことはわかったよ。ただ何回も生き返らせて貰ったところで僕には何も出来ないぞ。」
(あっさり熊に殺されたんだぞ、神様が手を焼くような化け物人間に勝てるわけがない。)
「出来ます。」
(何だって?)
「何言ってんだ!」
無理難題を押し付けられてイライラを隠すことが出来ず、声を荒げてしまう。
「馬鹿なことを言うなよ!爆弾でも持って特攻でもしろってか?それも何度も何度も生き返って!」
「方法はわかりません。ただ一つ言えることは、あなたが正面からあの男を倒せる可能性はゼロです。」
意味がわからず思わずため息が出る。
「お前…馬鹿にしてんのか?」
「いえ、あの男の能力が問題なのです。」
「規格外の超能力なんだろ?」
「はい、あの男の能力は『現実改変能力』です。それも規格外の。」
「げんじつかいへん?」
「はい、その文字の通り好きなように自身の周りの現実を変えてしまう能力です。」
あまりにも非現実的な話に頭が痛くなる。
現実を改変?なんだそりゃ、まるで神様の万能じゃねえか。勝つとか以前の問題だ。
「そうか、やっぱ僕には無理だな。明らかに実力が足りてない。」
「あなたには拒否する権利が
「うるさい!お前が言っただろ、あの子供の能力はとんでもない万能なんだろ!どうやって倒すんだよ!お前も助けてくれないんだろ。」
「直接助けることは出来ませんが、その方法を教えることが出来ます。」
「何?」
(本当に何度も死にながら倒す方法を探すとかじゃないよな…)
そもそも子供を殺すつもりは無いが、ここに居たところでまた別の動物に襲われ殺されるのが落ちだ。こいつに従うふりをして、今の状況をなんとかしていくしかない。
とりあえず僕はこいつの作戦を聞いてみることにした。
異世界トリップ 壊れる こんこん199x @konkon2009
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