第8話 政争ってのは大変だね。

「正直、邪神様じゃなくても別の神様がこの世界を支配しても、これから特に変わることないんでしょ?」



「いいえ、大きく変わります。というか、あなた死にます。」



「…えっ」



待ってほしい。神様の話してたらいきなり、「あなた死にます」なんて突拍子もないこと言わないでほしい。



「ど、どういうことか聞いてもいいかい?」



「神たちにとって、世界とは神のエネルギー源です。そこで生きる全ての生物は日々、感知することができないほど、ごくわずかに生命エネルギーが世界に吸収されています。それが、神のエネルギーとなり、不死の源になるのです。

しかし、神からすれば、世界から日々少しずつエネルギーを吸収するよりも世界を食べた方がよほど効率がいいんですよ。エネルギー源たる生物を丸ごと食べるわけですから。」



「ひ、ひぇーーーー」



許してほしい。思わず、変な奇声を上げてしまったことを。

神って、どんだけ怖いんだよ。



「い、今の邪神様たちは世界を食べないのか?」



「食べません。」



そんな堂々と言われれば、逆に清々しいと思うんだな。



「確かに、世界を丸ごと食べて仕舞えば、一時的にはエネルギーを膨大に得られます。しかし、それは一時的です。

永続的にエネルギーを得る方がよほど賢いと言えます。それなのに、他の神たちは、普段は賢いはずなのに、エネルギーに関してはすぐに食べたがるんです。

もう少し、自重して今後のことを考えたら、世界は残しておくほうがいいと気づけるものを…。」



なんか渋い雰囲気を醸し出してるな。

こいつが、ダンジョンマスターでいいんじゃないか?

僕は、こいつの補佐的な立場にいれば、のんびりできそうだし…。



「で、わかりました?

生き残りたければダンジョンマスターとして死ぬ気で頑張ってください!

そして、邪神様の後任に選ばれるのです!

(そうすれば、私も安泰です…)」



「ん?今なんか言った?」



「いいえ、そんなことよりもダンジョンマスターとして生きていく覚悟は出来ましたか?」



「えっ?あ、うん。」


あのダンジョンコア、腹黒いな。

腹はないかもしれないけど…。


そう感じたのだった。

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「出ていきなさい!」とダンジョンマスターである親からダンジョンを追放されました しぇからしか @hiroki0726

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