ちから
バブみ道日丿宮組
お題:マンネリな川 制限時間:15分
ちから
高校デビューでオレも人気者になれるかもと、遠く離れた高校へと入学して次の日。早速授業がはじまった。オレはといえば、不安と興奮で少し落ち着かない。
なぜなら、この学校の授業は普通の教科を教えない。歴史、雑学、政治等ほとんど教科書を使わない。いわば教師の得意なことを学ぶ学校なのだ。
少し寝不足な状態で聞こえてきたのは、
「今日は自然災害の発声法をお伝えします」
教師が教卓の前にくるとそう宣言だった。
「先生! 災害は発生じゃなくて自然に起こるものかと」
「発生じゃなくて発声ね。声を使って起こすことを発声法といいます」
なるほどと質問した生徒は頷く。
おいおいそこ認めちゃっていいのか? 声で起こる災害っておかしいだろ。かといってそこを質問し直すのはなんかかっこ悪い。教室内はみんな期待感でいっぱいだし。オレだけおかしいって思ってるのはよりおかしくなる。
ここは空気を読む以外に選択肢はない。
「はい、課外授業の許可はとってあります。その実習に当たって、4,5人の班をこれから作ります」
配られたのは細長い紙。それに数字が書いてあり、全部違うようだった。
「皆さん一枚ずつ選んでくださいね。それで班をこちらで決めます」
そうして班が決まり、近くの川へとやってきた。
「この川を大きくするにはどうしたらいいと思いますか」
どうしたら……水かさを増やすのは不可能だし、雨をまつとかか?
「魔法で水を増やす」
「それも一つの選択肢ですね」
えっ? 魔法……魔法ってあのゲームとかの?
「魔法を使える人は何人いますか」
すっと手が天に伸びる。数にして10人。おいおいまじか? 頭大丈夫?
「では、一人ずつ試してみてください」
手をあげた生徒が教師の隣に列をなした。
そこからの展開は正直よくわからなかった。
本当に魔法と呼べる不思議な現象が起こったからだ。
「はい、魔法と呼ばれる超能力ですらこのぐらいしか川を自然災害へ導くことができません」
そこで使うのはと、教師はポケットから先程の長い紙に似た紙を取り出す。
「ここに川と書きます。おや知ってる人もいるみたいですね。そうです。これは言霊を具現化するアイテムです」
言霊……? アイテム……?
オレが疑問思考に囚われてる間に教師は、川と書いてある紙を口に含んだ。
そして次の瞬間にそれを吐き出すと、みるみるうちに川が増水した。
「このやり方であると、まるでツバが増やしたようにみえるかもしれません。その場合はーー」
そこから5つのやり方を教えられたが、頭がどうにかなってしまいそうだった。
ちから バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます