第33話 番外編 其の二 犬館大 side

 俺は和歌わかと幼馴染みで、なごみちゃんと初めて会ったのは小学生の時。

 和歌に「この子が誰かにいじめられていたら、すぐにフルボッコすること!」と言われた。

 そんなことを言われてもと思った。

 校舎裏にある畑の世話、ウサギの世話、教室にある観葉植物への水やりをしている方が楽しい。

 人と喧嘩なんて御免だ。

 当時はぽっちゃりしていたから、和歌から見た俺は強い印象があったのかもしれない。

 高校生になると、入学式の日に久しぶりに見た和ちゃん。


だいちゃん、元気そうで」

「和ちゃんこそ」


 ちょっとした会話をして、その後は会っていない。

 そして2年に上がり、和歌が「ついに会長の座を射止める時がきた!」と張り切っていた。

 そんなある日、和歌を通して和ちゃんに久しぶりに会った。


「ご無沙汰してます」

「こちらこそ」

「2人して変な会話しないでよ!」


 しばらく会っていないから、固いに決まっている。


「あの、大ちゃん」

「はい」


 突然呼ばれてちょっとドキッとした。

 和歌がいるのに危ない危ない。


「わぁちゃんには言ったけど、私の事は後輩と思って接して」


 また突然変なことを。


「あと、次に会う時ははじめましてって自己紹介するから」

「えーと?」

「なごの言う通りにして!」


 実際に本当にそうした。不思議だった。

 でも、和ちゃんと一緒にいた男子生徒を見て気付いた。

 和ちゃんは彼が好きなんだと。

 だから、悟った。

 このヘンテコな状況に、とことん付き合うことにした。


 ちゃんと和ちゃんはタイミングを見て彼に言うだろう。

 本当のことを知っても彼は動じないから大丈夫。


 あの2人、いつまでも仲良くいて欲しいな。

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