第32話 番外編 其の一 花野和歌 side

 小さい頃から仲良くしている同い年のいとこの女の子。

 名前はなごみちゃん。

 私はその子を“なご”と呼ぶ。

 私と違って可愛くてお姉さんのめぐみちゃん(通称・めぐちゃん)とは対照的な性格で、大人しいけど慣れると人懐っこい女の子。

 なごが体が弱かった事は知っていた。

 だから、出来る事があればなんでも助けた。

 高校受験の時に、めぐちゃんから「和に勉強を教えてあげて」と頼まれて、私は付きっきりで一緒に受験勉強をした。

 そのかいあって、同じ学校の同じクラスになった。

 私はこれから手助けして、みんなと仲良く出来るようにする!と決意したけれど、なごは入学式以降、登校する事はなかった。

 そして今年。ダブったから心配していた。

 でも、ある男子生徒のお陰で、なごは学校生活を楽しむ事が出来ていた。

 私はその男子生徒に会ってみたいと思っていた。

 どうしたら会うきっかけが出来るのかを考えていたら、閃いた。

 ずっと生徒会長を虎視眈々と狙っていた私は、それを利用した。


「なご、生徒会長に私なりたいから手伝って欲しい!」

「わぁちゃん、生徒会長なりたいの!?すごーい!」

「それで他に手伝える人がいたら声かけして!」

「なるほどぉ!」


 するとなごは少々考えてから言った。


「分かったよ!でも、お願いを1つ」

「何?」


 なごのお願いは、なんとしても叶えると決意はしている。

 どんなお願い事かなと待つと、なごはこう言った。


「私とわぁちゃんは同い年だけど、人前ではわぁちゃんの事をって呼ばせて!」


 どういうこと?と思っていると、なごは続けた。


「声をかけるのは、わぁちゃんによく話す人。まだ、私は年上なんだって言っていないから、だからお願い」

「つまりそれって、その子と対等でいたいから?」


 なごは頷いた。


「上下関係があると、距離が出来そうで怖いから」

「大切な人か」


 すると、なごの頬はみるみる赤くなる。


「わぁちゃん!」

「はいはい、OK!」


 恋か…良いねぇ~。

 そして実際に会うと、好印象しかなかった。

 この子になら、任せられるって。

 なごへの本心が知りたくて、だいちゃんにお願いした。

 大ちゃんはちゃんと仕事をしてくれた。


「和ちゃんのこと、好きとはっきり言っていないけど、好きな気持ちある、うん間違いない」

「ありがとう大ちゃん!」


 私は思った。

 この2人が手を取り合って歩む事が出来るならって。

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