第25話 驚いた

 いつもの学校に戻り平和に日々を過ごす中。


「今日もいないのか」


 ここ2週間はなごみは学校に来ていなかった。

 こずえに聞くと「風邪が長引いてる」としか言っていなかった。


「心配だな」


 君がいないとつまらない。

 つまらなすぎて、早退したくなる。


「元気だせや」


 七滝ななたきが声をかけてきた。


「…だな」

「心配すんな、大丈夫だって」


 こういう時の親友。ありがたい。


「ありがとな」

「辛気くさい顔は似合わないぜ」

「爽やかな顔、ムカつく」

「そうこなくちゃ」


 本当に親友に感謝。



 パッとしない寝ぼけ顔で登校している俺。

 君に会えないだけで、無気力になるなんて。

 俺も高校生なんだな、青春してんな、そう実感する。

 そろそろ倒れるのではないか。

 そう思っていると後ろから「わっ!」と背中をポンと叩かれた。

 振り返ると、ショートヘアの眼鏡をかけている女子生徒がいた。


「えーっと、どちらさん?」

「忘れたの!?」


 ん?この声はもしや。


「まさか、なごみか?」

「ピンポーン!」


 おいおい、嘘だろ!?


「どうイメチェンした私?」


 首を傾げて上目遣いで俺を伺う和。


「誰だか本当に分からなかったけど…うん」

「何?」


 ここで間違えたら大変だ。

 女の子への評価は慎重に。

 機嫌を損ねると後々直るまでが長いから。

 少し考えてこう言った。


「前より少し大人に見える」

「なるほど!」


 納得頂けたかな。


「ならこれはどう?」


 和は眼鏡を外した。

 今まで知らなかった彼女がそこにいた。

 眼鏡なしの方が、俺は好き。

 高校生特有の幼さの中に、大人っぽさとポテンシャルというのか、元が良いからか、美人さんに見えた。

 俺の目のフィルター越し限定であれば、俺はバカなのだろう。

 とりあえず、和にこう言った。


「眼鏡かけて」

「えっ?」

「早く」

「うっ、うん?」


 慌てて眼鏡をかけた和だった。

 誰にも見せないで欲しい、そう願う。



「無事に来たじゃないか十田とださん」

「うん」

「どうした?」

「釈然としない」


 昼休み、教室にて七滝と昼食をとっていた。


「何が?」


 登校中に、何故学校を休んだのか?を聞いた。

 すると和は「厄介な風邪でね、季節の変わり目だったからなのか大変だったよー」と言っていた。


「それが釈然としないってか」

「あぁ」


 違和感を感じて、心がずっとモヤモヤする。


「あんま追求すんなよ」

「それはしない」

「しつこい男は嫌われるからな」

「女心分かったふうに言うな」

「すまんすまん」


 たいしたことではない、そうは言っても引っ掛かる。

 何回か、こんな感じのがあったようななかったような。

 あったとして、その時は気にも止めなかった。

 うーん…気になる。

 が、本人からの言葉を待つことにした。

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