第21話 文化祭というビッグイベントがくる
中間テストが終わった途端、校内は文化祭に向けての話で盛り上がっていた。
高校最大のイベント、文化祭。
中学校の文化祭もそうだが、俺には関係ない世界。
楽しいの“た”の字も自分にはなかった。
でも今年でクソみたいな自分とはおさらばのようだ。
だって、きっと、大丈夫な気がするから。
「文化祭の催し楽しみだね!」
「ああ」
目の前にいる君のおかげだな。
「お化け屋敷に喫茶店に外だと屋台!ステージなら劇とか歌唱とかバンドとか!」
俺と
楽しそうに文化祭あるあるを和は言っていく。
「全部堪能したい!」
「欲張りだな」
「えへへ♪」
本当に楽しみにしてるんだな。
「和は1番何やりたい?」
「んー、決めらんない!でもね?」
おっ何かあるようだ。
「
照れながら恥ずかしながら和は言った。
「
「梢ちゃんは
頬を膨らませている。怒ったかな?
変なこと言った覚えはないのだが。
「なんで分かんないかな」
和、ボソッと一言。
これは謝った方がいい?
「ごめん」
「いいよ、別に!」
やはりご機嫌斜め、すまん。
※
俺のクラスはステージの出し物をせず、教室で出来る事に重点を置いた。
あくびをして、ぼーっとしている間に決まっていた。
「では、うどんそば屋に決まりましたー」
拍手。
地味だな、でもクラスに合っている。
「へいらっしゃい!とか言うのかな?」
「
となりの
どんだけ楽しみなんだか。
「あっ
「スマホいじんな」
「梢ちゃんとこのクラスの情報をいち早く知りたいじゃないか」
はあ、ため息。
「メイド喫茶…」
「おい」
七滝の興奮が鼻血となって現れた。
バカかよ、全く。
すかさずポケットからポケットティッシュを出して、七滝の鼻に突っ込んだ。
※
のんびり坂道を和と2人で下る。下校中です。
「メイド喫茶ねぇ」
「裁縫部の子達が可愛いメイド服を作るって!」
手間と時間が凄そうだ。
「和はメイドやるのか?」
「厨房は無理だから、自動的にメイドさんを選択したよ!」
七滝のように興奮はしないが、和はメイドさん似合うと確信しているし、見てみたい。
「楽しみにしていてね!」
満面の笑顔。ノックアウトです。
「ステージの催しはやるのか?」
「うん、やりたい子達がやるって事で決まったんだ」
それが良いよ。やりたい事をやる。
それでみんな楽しい、一件落着。
「はぁー、本当に楽しみだなぁ」
沁々と言う和。
「だな」
俺も楽しみにしている。
たった1日だけ非現実になる魔法の日。
その日を作る為に準備をする。
普段白黒のような校舎が、色をつけてどんどんカラフルに賑やかになる。
さぁ、どうなることやら。
一体どんな世界が広がっているのやら。
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