第19話 あなたが噂の

 放課後の時間帯。

 なごみと一緒に2年生の教室のある2階にいた。

 教室の前だと嫌なので曲がり角の所で待機。


「いとこはとても美人なんだよ!」

「へぇー」


 とはいえ、興味はない。

 今まで可愛い系美人系の女子を見ても、心は微動だにしなかった。

 今は、和が1番だから、余計に動くことはない。

 我ながら恥ずかしいな。

 2人で待つこと10分。


「なご、お待たせ」

「お姉ちゃん!」


 ギョッ!?本当に美人さんだ。

 スラッとした体躯でモデルさんなんじゃないかと思ってしまう。

 前髪は切り揃えられていて、腰まで伸びた黒髪ストレート。

 キリッとした目ではあるが、優しい感じがあって、圧を感じない。

 そういえば入学前に誰かが言っていた。


はちが受かったあの学校には、校内一の美人がいるってよ』


 あの時は聞き流していたが、本当にいたんだな。


「あっ、君だね!なごの

「えっ?」


 “彼氏”というワードにビビっていると、和が慌ててこう言った。


「ちっ違うよー!お友達!」

「はいはい!」


 ああー、ビビる。心臓に悪い。

 変な汗が吹き出すとこだった。

 付き合っていないのは本当だが、否定されるとズキッとした。


「冗談はさておき、ねえ、えーと…」

平幡ひらはたです」

「ああ、そうそう!平幡君、覚えた!」


 ちゃんと覚えて下さい。


「お願いがあるの?良いかな?」

「内容によります」

「厳しいね」


 ニコニコ笑っている先輩。


「あの、ところで、お名前は?」

「そうだね!忘れてた自己紹介!」


 見た目はというか、しゃべらなければ才色兼備。

 しゃべると豪快で愉快な人だな。


「私は2年の花野はなの和歌わか。よろしくね!」

「はい、よろしくお願いします」


 花野先輩は右手を差し出した。

 なのでその手を握る。握手だ。


「うん、これで味方が増えたねー」

「お願い、聞いてない」

「あはは!んだったんだったー!」


 豪快に笑っている。


「平幡君に私の選挙を手伝ってほしいの!」


 だと思ったよ。


「放課後以外であれば」

「マジで!?ありがとー!」


 嬉しいをジャンプに現している。

 若干うるさいかな。


「これで私の勝ちは決まった!」


 どうだろう?


「先輩、狙っている役員はなんですか?」

「ふっふっふっ!」


 もったいぶらないで下さい。


「生徒会長に決まってんじゃーん!」


 だと思いました。なんか、疲れてきた。


「面白い人でしょ?」


 和さん、俺ついていけん。

 こうして、新たに知り合いが、少し変な先輩が出来ました。

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