第16話 お誘い
夏休みも終盤に差し掛かっていた。
ダラダラと日々を過ごしていたある日。
『お祭り、一緒に行かない?』
俺は即答で『いいよ』と返す。
すると秒の早さで『ありがとう!』と返ってきた。
祭りか。浴衣着てくるのかな?
似合うだろうな。楽しみだな。
あっ…。これってデートってやつか?
だとすると、どうしよう。エスコートなんかできん。
てなわけで、『困った。和から祭りに誘われた、OKしたけど』と、
これもまた秒できた。
『ついに初デートか~笑』
(笑)ってなんだ!?
『エスコートの仕方が』
『自然体でいればいいさ、難しく考えんな』
相談した相手を間違えたか?このモテ野郎が。
『とりあえず、ちゃんと彼女を見ておくこと。容姿はきちんと褒めること。そして、はぐれないように手を繋ぐこと。それさえ出来ればなんとかなる、以上』
『了解』
七滝のアドバイスが役立つのか不安になってきた。
※
祭り当日。屋台を巡り、山車やお囃子を見て、最後の花火大会を満喫する方針である。
緊張で1時間も早く来て待っていた。
昨日は眠れなかった。それだけ緊張している。
ふと改札口を見ると、来た。
カラカラと草履の音が響く。
見違える程の美少女と化していた。
「こんばんは!お待たせ!」
「こんばんは」
髪を纏めて、うなじが露に。こんなのダメだ。
紺の浴衣で、金魚が映えていた。
「浴衣…似合ってる」
自然に口から出た。
「あっ、ありがとう」
和は顔を真っ赤にして恥ずかしがりだした。
「行こうか」
「う、うん」
ぎこちない会話だった。
俺は、1番にはぐれるのは流石に不味いと思い、サッと彼女の手を握った。
「
「はぐれないように」
「そっ、そっか」
頷いた彼女。
なんだか嬉しそうに見えた気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます