第9話 力を合わせると良い結果に繋がる

 勉強を始めて30分が経過した。

 限られた時間の中ではあるが、皆真剣である。

 俺は少しイラついていた。

 七滝ななたき十田とだこずえに数学を教えているが、特に十田に教えている所を見るのは耐えられない。

 初めて抱く感情である。とりあえず、我慢している次第。


「ありがとうございます!七滝君!」

「いえいえ」


 十田が七滝に感謝している・・・むむっ。


「とっても分かりやすくて助かるー!」


 梢はどうでも良い。


「あー、あと30分あるんだー、嫌だなぁ」

「充電切れかよ」

「だってさー、疲れたよー」


 梢は思った事をはっきり言うから厄介だ。


「10分休憩して残りは英語で締めよう!ね、梢ちゃん」

「んー、なごみんが言うなら頑張るー」


 十田さん、ありがとう。

 10分の休憩時間を挟んで、勉強を再開するとあっという間に30分が経っていた。



 勉強会終了後、店員の尾沢おざわさんがタイミング良くクッキーがテーブルに置かれた。


「焼きたてのクッキーだよ、サービス!」

「「「「ありがとうございます!」」」」

「ごゆっくり~!」


 尾沢さんが作った焼きたてのクッキーを各々1枚手に取り、「いただきます」と一言。

 一口食べると、ふわっと香る小麦。そして優しい甘さが口いっぱいに広がる。

「美味しい」と俺。

「焼きたて最高!」と梢。

「今まで食べたクッキーの中で1番!」と十田。

「これ売ったら良いのに」と七滝。

 本当に美味しい。幸せになれる。


「ありがとう、本当に商品にしようかしら!」


 笑顔の尾沢さん。本当に商品になったりして。


「さて、そろそろ帰ろう!」

「そうだね、じゃあ片付けて出よう」


 女子2人の合図で俺と七滝も習う。


「尾沢さん、布巾貸して下さい」


 気を遣って十田はテーブルを綺麗にしようと尾沢さんを呼ぶ。


「いいよいいよ、私、拭くから。ありがとね!」


 こうして俺たちは喫茶店を出る。

 出る前にみんなで挨拶。


「「「「ありがとうございました!」」」」 

「はーい、また来てねー!」


 数日間はテストに向けて放課後は4人一緒に勉強に励んだ結果、全員赤点回避。

 平均点またはそれ以上の結果になったとさ。

 学年順位に関してはうちの学校は10位まで学年ごとの掲示板に掲載される。

 まず、七滝が1位。7位に十田。

 この2人、どんか頭をしているんだ。

 俺は渡されたプリントを見て順位を知った。

 30位だった、初めてだなこんな順位。

 梢に関してはまあ、聞かないでくれとの事だった。

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