第3話 泣いていた理由は…

「どうした?何故泣いている?」

「えっ?」


 初対面でこれはありですか?なしですか?

 数秒間見つめ合う。初めて女の子と見つめ合ってしまった、逸らしたいと思っていると。


「すみません、お見苦しい所を」

「いや別に」


 涙を制服の袖で拭いた彼女。

 靴を確認。色で学年が分かるので。

 うむっ青、俺と同い年。

 ちなみに、赤は2年生で緑は3年生である。

 めちゃめちゃタメで話しかけてしまったので、3年生だったら全力で謝罪しなければならない。先輩じゃなくて良かった。

 それにしても。容姿は可愛い方だ。

 サイドテールの髪型、整った顔だが目は垂れぎみ。それが可愛さを増しているのだろう。


「なあ、泣いていた理由は?」

「しょうもないので、言いません」


 まさかの黙秘。


「そうか」


 黙秘されるとどうしようもない。諦めよう。


「んじゃ、また何処かで」


 屋上を後にしようとしたら「待って!」と呼び止められた。

 何でだよ!?


「あの、靴の色からして・・・1年生ですか?」

「まあそうだけど」

「何組?私はB組です」

「俺はA組」

「お隣さん」

「だな」


 なんだこの会話。不思議な気分になる。


「おい、教室戻ってもいいか?」

「はい、結構です。ありがとうございました」


 いきなり冷めた態度。なんかモヤモヤする。


「本当にいいのか?」

「はい」

「マジで?」

「うん」


 てなわけで、俺は本当に彼女を置いて屋上から去った。

 あっ・・・名前、聞いとけば良かった。

 戻ろうとしたが、やっぱり止めた。

 春とはいえ、まだまだ肌寒いからな。

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