罪

暴かれた罪

　その日、奥さんはニコニコと笑顔で話してきた。

「あなた、私に言うことがあるんじゃないの？」

　はて、なんだろう？

　最近は心当たりがない。

　勝手に、電子書籍で漫画を全巻買ってしまったことだろうか？

　それも、ちょっとHな漫画。

　それとも、勝手に車のサスペンションを変えたことがばれてしまったのだろうか？

「あなた、これは何かしら」

　そう言って、見せてきたのはレシート。

　そのレシートは・・・

　シュレッダーにかけようと思って、財布に入れたままにしていたものだ。

　これはまずい。

「あなた・・・あたしに隠れて・・・行ってきたのね」

「いや、それはだね。剛士がどうしても行きたいって言うから・・・」

　息子の名前を出してみる。

　でも、多分これでは言い訳として弱いな。

「ひどい・・ひどいわ・・・」

　悔しそうに顔をゆがめる妻。

　その表情を見ると、素直に罪を認めるしかない。

「ごめん・・・謝るよ・・・」

「ひどいわ。私がダイエット中なのに、黙って焼き肉食べに行くだなんて！！」