終幕
次の朝、姐様に良く懐いた禿が一人、部屋まで起こしに来た。
煙草の灰受けに赤い灰が混じっている。
姐様は幸せそうな顔をして静かに眠っている。
そうか富豪のうちに行くからこれからは旨い物が食えるし、
綺麗なお洋服や簪を好きなだけ買ってもらえるに違いない。
嬉しいんだろう。
でも、もう少し寝かせてやりたいがもうすぐ支度をせねば。
禿は覚悟を決めて姐様を揺り起こすために手を伸ばした。
夏影 ーなつかげー 天野 帝釈 @kouba1wtmsl
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