第2話 夏の楽しみ方

 めちゃくちゃ暑い。クーラーをあんまり付けたくないから、扇風機で涼んでるけど限界がある。

 そうだ、アイス食べたい。

 冷凍庫を開ける。が、そこにアイスはない。なんでこういう時に限って買い溜めされてないの……。

 外に出るのもダルいけど、冷たいアイスの欲に勝てない。さっさと買って、家で涼もう。どうせ近くのコンビニだし、白Tにジーパンでいいか。

 雑な外着に着替えて家を出る。一応帽子も被ってるけど、それでも頭が焼けそうなくらいに暑かった。

 コンビニに向かいながら何気なく空を見る。入道雲とか、雨が降るのは嫌だけど晴れの時に雲だけ見れると夏って感じがして好き。今日は残念ながら、見つけられなかったけど。


 コンビニに入った途端、涼しい風が体を冷やす。寒暖差のせいか、ちょっと寒いくらいだ。他のお菓子は買いたくなっちゃうから見ないようにして、アイスを選ぶ。

 やっぱり棒アイスがいいな。うーん。さっぱりしたやつ……。

 おっ、良いのがある。と選んだのはどこにでもある無難なソーダ味の棒アイス。普段食べるかは微妙だけど、夏はたまに食べたくなる。


 アイスを買って外にでると、待ってましたとばかりに熱気に包まれた。

 うわぁ……。と思いながら日陰を選んで歩く。

 暑いし太陽が眩しすぎて上も向けない。斜め前の道路を見て歩く。

 太陽が隠れて、おっ、と思った瞬間、道路で影が波打った。

 これはあくまで表現。実際は、ただ太陽が雲に隠されただけ。太陽が雲に隠されて、また出た。雲は流れるから当たり前なんだけど、それが道路に写った影が、波打ってるように見えた。

 今までいくらでも見たことあるだろうに、意識してみると、不思議できれいだった。

 アイスが溶けちゃうから、はやく帰って食べなきゃ。

 ……帰らなくてもいっか。

公園が近いし、あそこのベンチで食べようかな。日陰っぽいし。ずっと家にいてばっかりだから、外の暑さを感じるのも良いか。

 あわよくば、またあの波打った影を見たい。

 私の新しい夏の楽しみ方。

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日常が、上手くいかない 七星 テントウ @nanatento10

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