§061 クラス分け
俺とレリアがクラス分けの貼り出された掲示板に向かうと、そこには既に人だかりができていた。
レリアの話によると、王立学園のクラス分けはあくまで実力主義。
入学試験の成績上位者からSクラス、Aクラス、Bクラスに割り振られるらしい。
それではクラス間の実力に大きな偏りが出来てしまうのではないかと思ったが、王立学園はあくまで次世代の六天魔導士を育成する学校。
皆を平等に育成しようという意識は希薄で、少数精鋭というと言い方は悪いが、精鋭の中から更なる選りすぐりの精鋭を選び抜こうという考えが根底にあるようだ。
俺は王立学園の教育方針に異議を唱えるつもりはないし、クラス分けだって伝統的にそうなっているそうだから別に文句を言う権利は俺にはない。
ただそうなると……俺とレリアのクラスは別か……。
俺は首席合格である一方で、レリアは魔石の個数でいうとギリギリの合格。
この成績だけを見ると、俺とレリアが同じクラスになれる可能性は低い。
何となく俺はレリアと学園生活を共に過ごす想像をしていた。
しかし、現実問題として、そんなにうまくはいかないらしい。
俺はクラス分けの表に目を向けると、予想どおり『Sクラス』に『ジルベール・ヴァルター』の名前があった。
そして、他のクラスメイトを確認しようと視線を下に遷移させていくと……。
「「あれ?」」
俺とレリアの声が重なった。
「私もなぜかSクラスのようです」
俺も確認したが間違いない。
どういう運命のいたずらかはわからないが、レリアもSクラスに配属されていたのだ。
俺はどちらかというと驚きが先行していたが、レリアは喜びが勝ったようで、いかにも嬉しそうにその場で飛び跳ねると俺の胸に飛び込んできた。
「よかった。夢にまで見たジルベール様との学園生活です」
大仰なことに、レリアの瞳からはキラキラと涙が零れ落ちている。
これではまるで合格発表だ。
俺はさすがに周りの視線を気にして感極まっているレリアを落ち着かせつつ、再び掲示板に視線を戻す。
すると、どういう因果か、Sクラスには他にも見知った名前があった。
アイリス、ユリウス、セドリック、更には保護観察処分となったスコットの名前までも。
この瞬間にふとシルフォリア様の顔が脳裏を過ぎったが、さすがに気のせいだと信じたい。
「とりあえず教室に向かおうか」
俺はいまだ歓喜しているレリアに声をかける。
「はい! アイリスちゃんも同じクラスのようですし早く行きたいです!」
そうして俺は満足そうなレリアを引き連れて、Sクラスの教室へと向かったのであった。
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